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社会保険の新規適用とは?役員・従業員が加入する手続きを徹底解説

「社会保険の新規適用、どうすればいいの?」
「会社設立時の手続き、安心して任せたい」
コストを抑えつつ、面倒な労務手続きを安心して任せたい中小企業の経営者の中には、このように考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、社会保険の新規適用について以下の点を中心に解説します。
- 社会保険の加入条件と種類
- 必要書類と手続き
- 未加入のリスク
手続きの準備段階から、スポット社労士くんがお手伝いしますので、専門用語を覚える必要はありません。社会保険の新規適用について知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
まず確認!社会保険の「新規適用」とは?
社会保険の新規適用とは、会社が健康保険と厚生年金に初めて加入する手続きを指します。
対象は、法人の設立や従業員を雇用したタイミングの事業所。社会保険は病気・老後などに備える公的制度で、未加入だと保険料の遡及や罰則リスクもあります。
事業の信頼性を保つうえでも、早めの対応が求められます。
社会保険の種類と加入義務のある事業所(強制適用事業所)
健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の4つが社会保険に該当します。
法人事業所は、役員1人でも健康保険と厚生年金への加入が法律で義務づけられています。個人事業所でも、16業種で常時5人以上の従業員がいる場合は強制加入の対象です。
雇用が発生した時点で、雇用保険と労災保険への加入も義務になります。
任意で社会保険に加入できる事業所(任意適用事業所)
強制適用の条件に該当しない事業所でも、社会保険に任意で加入可能です。
従業員の過半数の同意と、日本年金機構の認可が必要ですが、認可されれば強制加入と同じ給付や保険料制度が適用されます。福利厚生の充実を図りたい小規模事業者にとって有効な選択肢といえるでしょう。
社会保険の新規適用手続きの全体的な流れ
新規適用届は、要件を満たした日から5日以内に日本年金機構へ提出します。
登記簿謄本(法人)や住民票(個人)などの添付書類が必要で、従業員がいる場合は資格取得届も同時提出が求められます。
労災・雇用保険も別途手続きがあり、それぞれ10日・50日以内に対応します。手続きが煩雑な場合は、社労士への相談が安心です。
社会保険の新規加入に必要な書類
社会保険の新規加入には、法人・個人事業所ともに必要な書類を正確に揃えることが欠かせません。
法令順守はもちろん、従業員の安心や企業の信頼性確保にも直結します。準備が不十分だと手続きが遅れ、保険適用の遡及リスクやペナルティの可能性もあります。
一部の法人では電子申請が義務化されているため、事前に確認しておきましょう。
【事業所向け】社会保険の新規適用に必要な主な書類
社会保険の新規適用では、事業所の形態に応じて届出と添付書類が異なります。加入要件を満たした日から5日以内に「新規適用届」を日本年金機構へ提出が必要です。
法人事業所の場合
法人は「健康保険・厚生年金保険新規適用届」に加え、発行90日以内の登記簿謄本(原本)を添付します。
さらに、法人番号指定通知書のコピーも提出対象です。登記住所と事業所が異なる場合は、賃貸借契約書などの所在地証明が必要です。
個人事業所の場合
個人事業所では同様に届出をして、事業主の世帯全員の住民票(原本・発行90日以内)を添付します。
所在地が異なる際は、事業所の実態を示す書類(契約書など)を追加します。任意適用希望時は「任意適用申請書」「同意書」や1年分の納税証明書も必要です。
【役員・従業員向け】社会保険の資格取得に必要な主な書類
役員や従業員の加入には、「被保険者資格取得届」の提出が必要です。
雇用日から5日以内に事業主が管轄年金事務所へ提出します。対象者全員分を記入・提出する義務があります。
全員に共通して必要なもの
全員に必要なのは、「被保険者資格取得届」です。氏名・生年月日・報酬月額などを正確に記入します。
通常であれば添付書類は不要ですが、60歳以上で再雇用された場合などには追加書類の提出が求めらる場合もあります。
被扶養者がいる場合に追加で必要な書類
扶養家族がいる場合、「健康保険被扶養者(異動)届」の提出が必要です。戸籍謄本や住民票(発行90日以内)の添付で家族関係を証明します。
収入要件を満たす証明として、退職証明書や年金通知書が必要なケースもあります。
電子申請で手続きをする場合
社会保険の届出は、電子申請にも対応しており業務効率化に有効です。郵送や窓口提出よりも早く手続きが進められ、特に中小企業にとっては時間的な負担を軽減できます。
資本金1億円超の法人は2020年4月以降、電子申請が義務化されています。詳細や操作方法は、日本年金機構やe-Govで事前確認が可能です。
社会保険の加入手続きの期限と提出先
社会保険の加入手続きは、法令遵守と企業の信頼確保に直結する重要事項です。提出期限や方法を正しく理解し、計画的に進めることで労務管理の効率化が図れます。
加入漏れは保険料の遡及徴収や行政指導の対象になるリスクがあるため、早めの対応が必要です。
新規適用届・被保険者資格取得届の提出期限
事業所が適用要件を満たした場合、「新規適用届」は5日以内に日本年金機構へ提出が義務です。
対象日は、法人設立日や従業員が常時5人以上となった日です。従業員を雇用した場合も、「資格取得届」を5日以内に提出します。
期限超過時は、保険料の2年遡り徴収や指導の対象となる可能性があるため注意してください。
主な提出先と提出方法
提出先は、事業所所在地を管轄する年金事務所または事務センターです。
提出方法は窓口持参・郵送・電子申請の3通りがあります。資本金1億円超の法人などは、2020年以降電子申請が義務化されています。
電子申請には、GビズIDと電子証明書(マイナンバーカードなど)の取得が必要です。事前準備を進めておくと手続きがスムーズです。
健康保険組合に加入する場合の提出先と注意点
健康保険組合へ加入する場合でも、「新規適用届」は年金事務所への提出が基本です。
届出書には加入予定の保険組合名の記入欄があり、提出先は変わりません。ただし、共済組合制度(短期組合員)に加入する事業所は、「適用申出書」の添付が必要です。
制度の違いによって手続き内容が変わるため、忘れずに加入先の確認をしましょう。
【ステップ別】役員・従業員の社会保険新規加入手続き
社会保険の新規加入手続きは、事業所の適用届と従業員の資格取得に分かれます。法令順守と職場環境の整備に直結するため、期限内の対応が欠かせません。
会社設立から5日以内など提出期限が厳格に定められている書類もあり、各ステップを正確に進める必要があるでしょう。
参考:就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き|日本年金機構
ステップ1:事業所を社会保険に加入させる(新規適用届の作成と提出)
法人設立や要件を満たす個人事業所は、「新規適用届」を5日以内に提出します。
適用届の作成は、社会保険手続きの起点であり、記載内容や添付書類に不備がないよう確認が必要です。
新規適用届の記入ポイントと添付書類の確認
届出には事業所の名称・所在地・事業内容などを正確に記載し、法人なら登記簿謄本・法人番号通知書の写しを添付します。
個人事業所は、世帯全員の住民票(90日以内)と、所在地を証明する契約書類の提出が必要です。
ステップ2:役員・従業員を社会保険に加入させる(被保険者資格取得届の作成と提出)
事業所の適用完了後、役員や従業員の「資格取得届」を5日以内に提出します。
これにより、社会保険の保障が開始されるため、遅延がないよう入社日を基準に手続きするのが大切です。
参考:2-1:従業員を採用したとき|日本年金機構
被保険者資格取得届の正しい記入方法と注意点
届出には、氏名・生年月日・性別・報酬月額・基礎年金番号などを記入します。
報酬月額は将来の年金額にも影響するため、正確な記載が求められます。60歳以上の再雇用など、一部ケースでは追加書類が必要です。
標準報酬月額の決め方と保険料への影響
保険料は標準報酬月額に基づき決定されます。給与を等級で区分し算出するため、通勤手当や残業代も含めた正確な届け出が重要です。
報酬額が高いほど、会社・従業員ともに保険料負担は増加します。
パート・アルバイトなど短時間労働者の加入条件
パート・アルバイトも、週20時間以上・月収8.8万円以上などの条件を満たせば社会保険加入が必要です。
2024年10月以降、従業員数51人以上の事業所では加入義務が拡大しているため、雇用形態にかかわらず適用条件を確認してください。
家族を被扶養者にする場合の手続き(被扶養者(異動)届)
扶養家族がいる場合は「被扶養者(異動)届」を提出し、戸籍謄本・住民票・収入証明書などの添付が必要です。
被扶養者の認定には、収入要件や同居の有無など複数の条件を満たす必要があります。
ステップ3:社会保険料の納付開始について
手続き完了後は、社会保険料の計算と納付が始まります。正確な納付をすることで、延滞金や行政指導といったリスクを回避できます。
保険料の計算方法(会社負担分と従業員負担分)
保険料は標準報酬月額に保険料率を乗じて算出され、事業主と従業員で折半します。
保険料率は毎年度見直されるため、日本年金機構の最新情報を確認してください。
保険料の納付方法と納付期限(納入告知書など)
保険料は毎月末日が納期限で、口座振替・窓口・郵送で納付可能です。20日前後に届く納入告知書を確認し、期限内の支払いを徹底しましょう。
未納が続くと延滞金や立入検査の対象になる可能性もあります。
複数の事業所に対して、一括申請(本社等一括適用)をする場合
複数の事業所を持つ企業では、社会保険の手続きが煩雑化しやすいため、業務効率化が課題になります。
本社が人事・給与などの労務管理に集中している企業は、「一括適用」制度を利用すれば、社会保険手続きを一元管理できます。
この制度により、各拠点で個別の届出が不要となり、労務対応の手間やコストの削減につながります。
参考:一括適用|日本年金機構
一括適用の概要と手続き効率化のメリット
一括適用が認められると、本社と支社を一つの事業所として扱えるようになります。この扱いにより、従業員の転勤時に本来必要な資格取得や喪失の届出が不要です。
結果として、届出件数の削減・処理時間の短縮・事務負担の軽減が実現します。人事異動の多い業種やエリア展開をしている企業にとって、導入のメリットは非常に大きい制度です。
一括適用の承認を受けるための要件と申請手続き
一括適用の申請には、本社がすべての事業所の人事・給与を一元管理しているのが前提です。加えて、同一法人内の事業所である場合や、業種が同じであるケースも要件に含まれます。
手続きには、「一括適用承認申請書」の提出が必要で、日本年金機構のウェブサイトから書式を取得可能です。
申請は、管轄の年金事務所または事務センターへの郵送・窓口持参・電子申請のいずれかで行えます。要件の確認と書類の事前準備が、承認取得のポイントです。
他社で既に社会保険に加入している役員・従業員の場合
社会保険に既に加入している人材を雇用する場合、通常の取得手続きと異なる対応が必要です。
特に副業・兼業が広がる中で、労務管理の複雑化を防ぐためにも、制度の理解と適切な案内が求められます。
ここでは、他社加入者を迎える際の届出と注意点を整理します。
参考:複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き|日本年金機構
「二以上事業所勤務届」が必要となるケースとは?
複数の勤務先で社会保険の加入要件を満たす従業員には、「二以上事業所勤務届」の提出が必要です。
この届出により、主たる勤務先で社会保険資格を取得し、保険料の負担割合が決まります。
たとえば、週20時間以上勤務する事業所が複数あるケースでは、この手続きが必須です。
会社側は、雇用前に他社での加入状況・労働時間を確認し、本人に制度の案内をしましょう。
二以上事業所勤務届の手続き詳細と保険料の按分
この届出は、発生から10日以内に年金事務所または事務センターへ提出します。
提出方法は郵送・窓口・電子申請が選べます。届出は従業員本人が行う義務があるため、会社は制度の概要と提出期限を事前に周知するのが重要です。
保険料は、複数の勤務先の標準報酬月額に応じて按分され、各社で控除処理をします。これにより、保険料負担が公正に分配されます。
副業・兼業における社会保険加入の注意点
複数の勤務先での労働条件を合算した結果、社会保険の加入義務が発生するケースがあります。
たとえば、各社で20時間未満でも、合計で20時間を超える場合は要件を満たす可能性があります。このようなケースでは、被保険者資格取得届と併せて「二以上事業所勤務届」が必要です。
労働条件の把握と制度理解が重要であり、必要に応じて年金機構の確認や社労士への相談も有効です。
社会保険の加入対象者が未加入だった場合のリスクと対応
社会保険への加入は法律で義務付けられており、対象者を未加入のままにすると企業に深刻な影響が及びます。
放置すれば、保険料の遡及徴収・行政指導・罰則・信用失墜といったリスクが現実化します。ここでは、未加入が発覚した際の対応と予防策を解説します。
参考:厚生年金保険・健康保険などの適用促進に向けた取組|日本年金機構
未加入が発覚した場合のペナルティ(遡及加入と追徴金)
社会保険の未加入が発覚した場合、最大2年分の保険料を遡って納付する義務が生じます。
延滞金も加算され、金額は決して軽視できません。さらに、退職者との連絡が取れない場合は、企業が本人負担分まで全額支払う可能性もあります。
結果として、突発的な大口出費が発生し、資金繰りを圧迫するリスクが高まります。
行政指導や罰則の可能性
加入対象者を未加入で放置すると、日本年金機構による調査・指導・立入検査の対象となります。
特に、加入手続きを怠る未適用事業所には重点的な加入指導が実施され、是正されない場合は強制加入処理に至ります。
悪質と判断された場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性もあります。
未加入状態を解消するための具体的な対応手順
まずは早急に管轄の年金事務所に相談し、適用届や資格取得届など必要な書類を遡って提出します。
届出と保険料納付が完了すれば、未加入状態は解消されます。加入指導の段階で自発的に動くことで、罰則の回避につながります。
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社会保険の新規適用・加入に関するQ&A
社会保険の加入は、従業員の安心と企業の信頼に直結する法的義務です。しかし、加入条件や手続きは複雑に感じやすく、役員・パートの扱いや申請方法に関する質問が多く寄せられます。
ここでは、中小企業の経営者が抱きやすい疑問点をQ&A形式で簡潔に解説します。
Q.役員も必ず社会保険に加入しないといけませんか?報酬ゼロでも対象ですか?
法人は、役員1人のみの会社でも社会保険の強制適用事業所に該当します。役員報酬がない場合でも、法人という形態であれば役員自身が被保険者となる前提です。
役員も老後や医療に備える保障対象として加入義務が発生します。
Q.パートやアルバイトはどのような条件で社会保険の加入対象になりますか?
正社員の4分の3以上勤務していれば加入対象です。これに満たなくても、週20時間以上・月収8.8万円以上・2ヶ月超の雇用見込み・学生以外であれば短時間労働者として加入義務が生じます。
2024年10月以降、従業員51人以上の事業所では義務化されており、雇用形態に関係なく条件確認が必要です。
Q.社会保険の手続きを社労士に依頼するメリットは何ですか?費用はかかりますか?
社労士に依頼すれば、煩雑な届出や期限対応を代行してもらえます。とくに人手不足の中小企業では、本業に集中できるメリットが大きいです。
費用はスポットで10万〜15万円前後が目安で、従業員数や内容により異なるため、事前の見積もり確認が重要です。
Q.新規適用の手続きは電子申請でできますか?どこから申請すればよいですか?
新規適用は、e-Gov(イーガブ)を使って電子申請が可能です。GビズIDや電子証明書が必要となる場合があるため、事前準備が必要です。
添付書類はPDFや画像形式で提出でき、郵送よりも手続きが効率化されます。
資本金1億円超の法人は電子申請が義務であり、詳細は日本年金機構サイトで確認可能です。
「社会保険の新規適用」まとめ
ここまで社会保険の新規適用についてご紹介しました。要点を以下にまとめます。
- 法人は原則として社会保険への加入義務あり
- 個人事業所も条件を満たせば加入対象
- 加入時は「新規適用届」などを5日以内に提出
- 未加入は最大2年の遡及徴収や罰則のリスクあり
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

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