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モンスター社員がいる会社が最初に読む記事【経営者向け完全ガイド2025】

「あの社員、もう限界だ…でも対処方法がわからない」
「下手に動いたら会社が訴えられる?」
そんな悩みを抱えている経営者・管理職の方へ。
この記事では、モンスター社員への正しい対処法を、労働法の根拠と具体的な手順とともに解説します。
日本では、解雇は「最後の手段」です。正しい手順を踏まずに解雇すると、会社側が「不当解雇」で訴えられ、敗訴するリスクがあります。しかし、正しい順序で対応すれば、会社は必ず守れます。
【第1章】動く前に必ず読む「解雇の法的基礎知識」
「モンスター社員」とは?増加する背景
モンスター社員とは、職場のルールや上司の指示を無視し、周囲に悪影響を与える問題行動を繰り返す社員のことを指します。その主な類型は次の3つです。
- 遅刻常習者:毎週のように遅刻・無断欠勤を繰り返す
- 指示無視社員:上司の業務指示を拒否・無視する
- ハラスメント加害者:部下・同僚へのパワハラ・セクハラを繰り返す
厚生労働省によると、過去3年間にパワハラを経験した労働者は19.3%にのぼります。
また、企業の64.2%でパワハラの実例が確認されています。
(出典:厚生労働省 令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」(2024年5月公表))
問題社員が増加している背景には、労働者の権利意識の高まり、SNSによる情報共有の加速、そしてコロナ禍以降のテレワーク普及による管理の難しさが挙げられます。
解雇が難しい理由:労働契約法第16条とは
日本の労働法では、会社側が社員を解雇することは極めて難しい構造になっています。その根拠が労働契約法第16条です。
労働契約法第16条(解雇)
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
つまり、解雇が有効とされるには2つの要件を同時に満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 客観的合理的な理由 | 誰が見ても「解雇してもやむを得ない」と納得できる事実がある |
| ② 社会通念上の相当性 | 解雇という処分が、問題行動の重さに対して適切(重すぎない) |
この2つが揃わない限り、解雇は「不当解雇」として無効になります。
懲戒処分の7段階(軽い順)
解雇の前に、段階的な懲戒処分が必要です。一足飛びに解雇すると「相当性」の要件を満たさず無効になります。
| 段階 | 処分の種類 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 戒告(かいこく) | 口頭での厳重注意 |
| 2 | 譴責(けんせき) | 始末書を提出させる書面での警告 |
| 3 | 減給 | 賃金の一部を削減(労基法91条の上限あり) |
| 4 | 出勤停止 | 一定期間の就業禁止(無給) |
| 5 | 降格 | 役職・等級の引き下げ |
| 6 | 諭旨解雇(ゆしかいこ) | 退職勧告→拒否した場合に解雇(退職金あり) |
| 7 | 懲戒解雇 | 即時解雇・退職金なし(最も重い処分) |
不当解雇になると会社が負う3つのリスク
解雇が「不当解雇」と判断された場合、会社は以下のリスクを負います。
- 解雇無効・強制復職:裁判所が解雇を無効と判断し、社員は会社に戻ってきます
- バックペイ(未払い賃金の全額支払い):解雇日から復職日まで、働いていない期間の賃金をすべて支払う義務が生じます
- 慰謝料・弁護士費用:精神的損害や訴訟費用として追加請求されるケースもあります
会社が負ける「NG対応」7パターン
経営者が最もやりがちな失敗パターンをまとめました。当てはまるものがないか、今すぐ確認してください。
| # | NGパターン | なぜダメか |
|---|---|---|
| 1 | 警告なしに突然解雇した | 改善機会を与えていないため「相当性」の要件を満たさない |
| 2 | 口頭だけで書面を残していない | 「注意した事実」が証拠として認められない |
| 3 | 弁明の機会を与えていない | 社員が反論できる機会がなく、懲戒処分が手続き違反で無効になる |
| 4 | 就業規則に解雇事由が明記されていない | 就業規則の根拠なき懲戒は無効(最高裁判例) |
| 5 | 改善期間を設けなかった | 裁判所は「改善のチャンスがあったか」を必ず確認する |
| 6 | 感情的な言葉で解雇を通知した | 「侮辱」「強要」と判断され慰謝料請求の的になる |
| 7 | 退職勧奨を繰り返して強要になった | 退職合意が無効となり、復職+バックペイが発生する |
【第2章】ケース別「NG対応 → OK対応」完全解説
ケース① 遅刻常習者への対応
毎週のように遅刻し、口頭注意をしても改善しない社員がいます。「もう解雇しよう」と思ったとき、どう動けばよいでしょうか。
NGな対応(やりがちな失敗)
- 「また遅刻か!」と口頭で叱るだけで記録に残さない
- 我慢の限界に達して、突然「解雇通知」を出す
- 遅刻の事実だけを責め、業務への影響を記録していない
- 始末書や警告書を発行しないまま、懲戒解雇を検討する
判例ポイント:日本食塩製造事件(最高裁 昭和50年4月25日判決)では、
「使用者の解雇権の行使も、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認できない場合は、権利濫用として無効となる」
と判示されており、この考え方は現在の労働契約法16条にも引き継がれています。
OK対応:正しい5ステップ
- 客観的な出勤記録を管理する
タイムカード・ICカード・勤怠管理システムで、遅刻の「日時・時間・回数」を記録します。 - 初回注意:口頭+指導記録票に記録
口頭での注意と同時に「指導記録票」を作成し、日付・内容・担当者名・本人のサインを残します。 - 改善されない場合:書面による警告を発行
「○月○日までに改善しない場合、懲戒処分を検討します」という内容を書面で通知します。 - 改善機会(30〜60日)を与える
改善期間を設け、その間の状況も記録し続けます。改善すれば経過観察、再発した場合に次のステップへ。 - 懲戒処分(減給・出勤停止)を経て、最終的に解雇を検討
段階的な懲戒を経ても改善しない場合にはじめて解雇を検討できます。
記録する「3点セット」:この3点が揃えば、法廷でも対抗できます。
①遅刻の頻度・期間
②業務への具体的な支障(取引先への謝罪、他社員への負担増等)
③過去の指導履歴
ケース② 指示無視社員への対応
上司の指示を「それは私の仕事ではない」「やり方が気に入らない」と繰り返し拒否する社員。放置すると組織の秩序が崩れます。
NGな対応
- 1〜2回の指示無視で、突然「解雇」を通知する
- 業務指示が口頭だけで記録が残っていない(「言った・言わない」問題)
- 何の指示を、いつ、どのように断られたかを記録していない
- 就業規則に「業務命令違反」の懲戒事由が明記されていない
OK対応:正しい6ステップ
- 業務指示を「書面またはメール」で発行する
口頭指示は禁物。メール・チャットツール・書面で、何を・いつまでに・どのようにやるかを明記します。 - 返答期限を設定する
「○月○日○時までに回答してください」と期限を明示。期限を過ぎたら記録に残します。 - 拒否・無視された事実を記録する
日時・指示内容・社員の発言・対応をすべて文書化します。 - 弁明を書面で求める
「なぜ指示に従えないか」を書面で説明させます。「業務との不整合」「体調上の問題」など正当な理由があれば別途対応が必要なため確認が必要です。 - 就業規則の服務規程違反として段階的懲戒を実施する
理由が正当でなければ、就業規則の「業務命令違反」を根拠に段階的な懲戒処分(口頭注意→譴責→減給)に進みます。 - 「反復性」が確認できた場合のみ解雇を検討
1〜2回では解雇は無効になる可能性が高い。繰り返しの記録が「解雇の合理的理由」の根拠になります。
指示拒否の「反復性」の立証が最大のポイントです。1〜2回の拒否では解雇は無効になる可能性が高いため、パターンを記録し続けることが不可欠です。
ケース③ ハラスメント加害者への対応
部下が「上司からパワハラを受けている」と申告してきました。感情的に対応せず、法的に正しい手順で動く必要があります。
NGな対応
- 被害者の訴えだけを聞いて、加害者を即日解雇する
- 加害者に弁明の機会を与えない(手続き上の重大ミス)
- 「ハラスメントは重大なのだから即懲戒解雇」と判断する
- 調査せずに「どちらかが嘘をついている」と断定する
OK対応:正しい6ステップ
- 被害者と加害者を即座に分離する
申告を受けたら、まず席替え・部署異動・テレワーク活用などで両者を物理的に分離します。 - 第三者による事実調査を実施する
人事担当者または外部専門家(弁護士・社労士)が、被害者・加害者・目撃者に個別に聞き取りを行います。 - 加害者に弁明の機会を必ず付与する
これを省略すると懲戒処分が手続き違反で無効になります。加害者にも事実を説明し、反論の機会を書面で与えます。 - 調査結果をもとに段階的な処分を決定する
初回・軽度の場合:書面警告+ハラスメント防止研修の受講命令
再発した場合:出勤停止 → 諭旨解雇 → 懲戒解雇 - 被害者へのケアを行う
産業医・EAP・外部相談機関への案内、必要に応じた配置転換を行います。 - 全プロセスを書面で記録・保管する
聞き取り内容・調査報告書・処分通知書・議事録をすべて保管します。
判例ポイント:ハラスメントが認定されても「初回かつ軽度」であれば、懲戒解雇は「重すぎる」として無効とされた事例があります(複数の裁判例より)。事前警告と再発という「繰り返しの証明」が懲戒解雇の可否を分けます。
厚労省の令和5年度調査によれば、企業の64.2%でパワハラの実例が確認されています。
発生後の対応スピードが被害拡大防止のカギです。
3ケース共通「鉄則チェックリスト」
問題社員への対応を始める前に、以下の項目をすべて確認してください。1つでも欠けていると、法廷で「不当解雇」と判断されるリスクが上がります。
| チェック | 確認項目 | 状況 |
|---|---|---|
| ✔ | 遅刻・問題行動の記録を、日付・内容・業務への影響とともに残している | □ 済 / □ 未 |
| ✔ | 注意は段階的に行っている(口頭 → 書面 → 懲戒) | □ 済 / □ 未 |
| ✔ | 書面で警告・業務指示を通知している | □ 済 / □ 未 |
| ✔ | 期限を設けた改善機会を与えた | □ 済 / □ 未 |
| ✔ | 弁明の機会を与え、書面で記録した | □ 済 / □ 未 |
| ✔ | 就業規則に懲戒事由・解雇事由が明記されている | □ 済 / □ 未 |
| ✔ | 懲戒委員会または人事担当者が正式な手続きで判断した | □ 済 / □ 未 |
| ✔ | 解雇予告(30日前通知)または解雇予告手当を支払った | □ 済 / □ 未 |
【第3章】訴えられにくい職場づくりと「穏便な対処法」
訴えられにくい環境をつくる:必要書類8種
問題社員が現れてから慌てて書類を整えるのでは遅いです。日頃から以下の書類・制度を整備しておくことで、会社を守る「法的な防衛ライン」になります。
| 書類・制度 | 目的・重要ポイント |
|---|---|
| ① 就業規則(懲戒規程含む) | 解雇・懲戒の法的根拠。明記がなければ懲戒は無効になる可能性がある。10人以上の事業所は労基署への届出が義務 |
| ② 誓約書(入社時) | 服務規程遵守・ハラスメント禁止の同意を入社時に書面で取得する |
| ③ 業務指示書・メール記録 | 「指示した事実」を証拠として残す。口頭指示は記録として弱い |
| ④ 指導記録票 | 日付・指導内容・担当者・本人の署名を記録。問題発生の都度作成する |
| ⑤ 始末書(本人署名) | 反省・再発防止を誓約する書面。譴責処分の証拠として機能する |
| ⑥ 懲戒通知書 | 処分の種類・理由・実施日を書面で通知。口頭通知のみでは証拠力が低い |
| ⑦ 解雇通知書 | 労働基準法第20条に基づく義務。解雇理由・日付・代表者署名が必須 |
| ⑧ ハラスメント相談窓口規程 | パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)上の事業主の義務。全規模の事業所が対象 |
日常的な予防策
- 年1回:就業規則の見直し(法改正への対応・解雇事由の更新)
- 年1回:管理職向け労務研修(ハラスメント防止・指導記録の書き方)
- 常時:ハラスメント相談窓口の設置・周知(法律上の義務)
- 策定推奨:問題発生時の「初動72時間マニュアル」(誰が・何を・どう動くかを明文化)
解雇より先に試す「退職勧奨」とは
退職勧奨(たいしょくかんしょう)とは、会社側が自主退職を促し、本人が合意して退職する方法です。正式な解雇と異なり「客観的合理的な理由」が不要なため、解雇より使いやすい手段です。
合法的な退職勧奨の5条件
- 「あくまで任意のお願いです。断っても不利益はありません」と明示する
- 1回の面談は1〜2時間以内にとどめる
- 繰り返し明確に拒否された後は勧奨を続けない(目安:3〜5回が限度)
- 面談は個室で、対等な人数(1対1または2対1)で実施する
- 面談の内容・日時・参加者を記録する
条件をつけて合意を引き出す:交渉例
| 提示できる条件 | 社員にとってのメリット |
|---|---|
| 退職金の上乗せ(通常額+α) | 経済的なメリットが生まれ、合意しやすくなる |
| 有給休暇の残日数を全額買取 | 残有給を損せずに退職できる |
| 雇用保険を「会社都合退職」扱いにする | 失業給付の待機期間がなくなり、給付日数も増える |
| 競業禁止条項を設けない | 同業他社への転職が自由になる |
| 転職活動期間中の在籍継続 | 在職中として求職活動できる |
違法な退職勧奨
- 「退職しなければ懲戒解雇にする」などの脅し文句
- 面談を毎週繰り返し、長時間にわたって圧力をかける
- 妊娠中・産休・育休中など解雇禁止期間中に勧奨する
- 面談内容を他の社員に漏らして退職するよう仕向ける
違法な退職勧奨の結果:退職合意が無効→強制復職+バックペイが発生します。
慰謝料が100万円〜200万円超になった判例も複数あります。
穏便に対処する実務手順(STEP 1〜6)
退職勧奨から退職後の手続きまで、実務の流れをステップで解説します。
- 退職勧奨・解雇のリスク診断を依頼する
- 就業規則の確認・懲戒事由の整備を依頼する
- これまでの指導記録の法的評価を受ける
- これまでの指導記録・警告書を整理する
- 面談場所(個室)を確保し、同席者(人事担当者1名)を選定する
- 伝える事実・表現・会話の流れを事前にシナリオ化する
- 具体的な事実に基づく業務上の問題点を冷静に伝える
- 「会社としては、円満にご退職いただくことを希望しています」と明示する
- 「あくまでお願いであり、強制ではありません」と明確に伝える
- 本人の意向を確認し、回答期限(目安:1〜2週間)を設定する
- 合意の場合:退職合意書(書面)を締結し、退職日・条件(退職金・有給処理等)を明記する
- 拒否の場合:「承知しました」と受け入れ、その場では追求しない
- 適正な指導・懲戒処分の手続きを粛々と継続する
- 改善が見られない場合は段階的に懲戒処分を重ねる
- 最終手段として解雇通知書を発行(労働基準法第20条に基づく30日前予告または解雇予告手当の支払い)
- 雇用保険被保険者証の返還・離職票の交付
- 源泉徴収票の発行(退職後1か月以内)
- 健康保険・厚生年金の資格喪失届の提出(退職翌日から5日以内)
【まとめ】会社が今すぐやるべきこと
今日からできるアクションリスト
| # | アクション | 優先度 |
|---|---|---|
| □ | 就業規則に懲戒事由・解雇事由が明記されているか確認する | 🔴 高 |
| □ | ハラスメント相談窓口を設置・全社員に周知する(法的義務) | 🔴 高 |
| □ | 問題社員がいる場合、今日から指導記録票の記録を開始する | 🔴 高 |
| □ | 業務指示をメール・書面で出す習慣をつける | 🟡 中 |
| □ | 社労士または弁護士に現状を相談する(初回無料の事務所も多い) | 🔴 高 |
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ハラスメント防止の公式ガイドライン・事例集・相談窓口一覧 - 都道府県労働委員会(個別労働紛争の調整)
対応ポイント3点をしっかり抑えよう
- 問題社員への対応は「記録」と「段階的な指導・懲戒」がすべて。感情で動いた瞬間に会社が負ける。
- 退職勧奨は「任意・温度感・回数」を守れば、解雇より使いやすい最強の出口戦略。
- 一人で悩まず、初動で専門家(社労士・弁護士)に相談することが最大のリスクヘッジ。
何かお困りの際や、具体的な対応については、必ず社会保険労務士または弁護士にご相談ください。
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参考法令・資料
- 労働契約法第16条
- 労働基準法第20条・第91条
- 労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
- 厚生労働省 令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査(2024年5月公表)
- 厚生労働省「あかるい職場応援団」
最終更新日
最終更新日:2026年5月12日




