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人事労務の年間業務とは?チェックリスト付きだからもう忘れない!【人事労務年間スケジュール表】

目次

はじめに

人事労務業務は、企業の持続的な成長を支える重要な基盤です。抜け漏れは企業のコンプライアンスリスクにつながるため、人事労務担当者は小さなミスも許されない責任を感じているでしょう。

しかし、月次の納付業務から年次の提出イベント、日常的な運用業務まで。
その業務範囲の広さと複雑さに、つい業務を忘れてしまうことありませんか?

そこで、本記事では人事労務担当者が年間を通じて実施すべき全ての業務を体系的に整理してみました!
この記事をデスクに常備して毎月確認することで、業務の抜け漏れを防ぎ、確実な実務遂行をサポートします。

年間業務全体像

人事労務業務は、大きく以下の3つのカテゴリーに分類されます。それぞれの特性を理解し、計画的に業務を進めることが重要です。

 1. 月次の納付業務(毎月必須)

毎月確実に実施しなければならない納付業務です。納付期限を過ぎると延滞金が発生するため、カレンダーへの登録とリマインダー設定が必須となります。

  • 社会保険料(健康保険・厚生年金保険):翌月末日納付が原則
  • 住民税(特別徴収):翌月10日納付が原則
  • 源泉所得税・復興特別所得税:翌月10日納付が原則(納期の特例適用事業所は半年に1回)

 2. 年次・期次の提出イベント

年間を通じて発生する定期的な提出業務です。提出期限が法令で定められており、遅延は罰則の対象となる場合があります。

1月:法定調書合計表、給与支払報告書、源泉徴収票交付

4月:協会けんぽの料率変更確認、労働者死傷病報告(該当事業所)

4〜7月:障害者雇用の申告・納付関係(規模要件あり)

6〜7月:労働保険の年度更新、算定基礎届、雇用状況報告

8月:算定基礎届提出、死傷病報告(4〜6月分)

10〜11月:新標準報酬月額通知、死傷病報告(7〜9月分)、源泉の納期特例(1〜6月分

11月:被扶養者状況リスト(協会けんぽ)

12月:年末調整(配布・回収・計算・提出準備)

3. 日常運用業務

従業員の入退社や日々の勤怠管理など、随時発生する業務です。迅速かつ正確な対応が求められます。

  • 採用・退職の手続き:雇用契約書作成、社会保険資格取得・喪失届
  • 勤怠管理・給与計算:毎月の給与計算、給与明細発行
  • 安全衛生対応:健康診断実施、労働災害対応
  • 人事評価・育成:評価制度運用、研修計画
  • 法改正へのフォローアップ:最新法令の確認と社内規程への反映
  • 労使協定の整備・見直し:36協定等の締結・届出

月別業務チェックリスト

以下、各月ごとに実施すべき業務を「納付業務」「提出業務」「日常業務」に分類して記載します。自社の状況に応じて、該当する業務にチェックを入れてご活用ください。

【1月】年度の始まりと法定調書提出の重要月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税納付(納期の特例:7〜12月分):1月20日まで

提出業務

[ ] 法定調書合計表の提出(税務署):1月31日まで

[ ] 給与支払報告書の提出(市区町村):1月31日まで

[ ] 源泉徴収票の交付(従業員へ):1月31日まで

[ ] 労働者死傷病報告(10〜12月分/該当事業所):四半期ごと

[ ] 扶養控除等申告書の回収・確認:新年度分の回収

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

[ ] 台帳更新(扶養家族・住所変更等)

【2月】通常業務の安定運用月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

提出業務

[ ] じん肺健康管理実施状況報告(労基署):該当事業所のみ、2月末まで

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

【3月】年度末の人事評価準備月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

[ ] 年度末の人事評価実施・昇給準備

【4月】新年度スタートと保険料率変更対応月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで(新料率確認)

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

提出業務

[ ] 協会けんぽの保険料率変更確認・対応:3月分(4月納付分)から適用

[ ] 労働者死傷病報告(1〜3月分/該当事業所):四半期ごと

[ ] 障害者雇用納付金申告(100人超企業):4〜7月の期間内に提出

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行(昇給反映)

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

[ ] 新入社員の入社手続き・オリエンテーション

【5月】通常業務の継続月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

提出業務

[ ] 障害者雇用納付金申告(100人超企業):継続対応

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

【6月】算定基礎届と労働保険年度更新の準備開始月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで(新年度切替確認)

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

提出業務

[ ] 労働保険年度更新の準備開始:前年度の賃金総額集計

[ ] 算定基礎届の準備開始:4〜6月の報酬月額確認

[ ] 障害者雇用状況報告(6月1日時点/規模要件あり):7月15日まで

 日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

[ ] 住民税特別徴収の新年度対応

【7月】年度更新と算定基礎届の提出期限月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税納付(納期の特例:1〜6月分):7月10日まで

提出業務

[ ] 労働保険年度更新の申告・納付:7月10日期限

[ ] 算定基礎届の提出(年金事務所):7月10日期限

[ ] 障害者雇用納付金申告(最終/100人超企業):7月末まで

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

[ ] 夏季賞与計算・支給

【8月】労働保険料納付と算定基礎届フォロー月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 労働保険料納付:全期一括または延納第1期(8月31日まで)

提出業務

[ ] 算定基礎届の最終確認・追加提出:年金事務所からの照会対応

[ ] 労働者死傷病報告(4〜6月分/該当事業所):四半期ごと

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

【9月】通常業務の安定運用月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

【10月】新標準報酬月額適用と年末調整準備開始月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで(新標準報酬月額適用)

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

提出業務

[ ] 新標準報酬月額決定通知の確認・対応:9月分(10月納付分)から適用

[ ] 労働者死傷病報告(7〜9月分/該当事業所):四半期ごと

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

[ ] 年末調整の準備開始(書類・マニュアル作成)

【11月】年末調整本格始動と被扶養者状況リスト提出月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 労働保険料納付(延納第2期/該当企業):11月30日まで

提出業務

[ ] 被扶養者状況リストの提出(協会けんぽ):11月末まで

[ ] 年末調整書類の配布・回収開始:従業員への説明実施

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

[ ] 年末調整書類の回収・チェック

【12月】年末調整完了と翌年提出書類準備月

納付業務

[ ] 社会保険料(前月分)納付:翌月末日まで

[ ] 住民税(前月分)納付:翌月10日まで

[ ] 源泉所得税(前月分)納付:翌月10日まで

提出業務

[ ] 年末調整の計算・確定:12月給与支給時に還付・徴収

[ ] 源泉徴収票の作成準備:翌年1月交付に向けて

[ ] 法定調書・給与支払報告書の準備:翌年1月提出に向けて

日常業務

[ ] 給与計算・給与明細発行(年末調整反映)

[ ] 勤怠データ締め・確認

[ ] 社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き

[ ] 冬季賞与計算・支給

[ ] 年末調整の最終確認・不足書類の回収

初心者でも確実に運用できる5つのポイント

人事労務業務を確実に遂行するためには、業務の見える化と予防的な仕組みづくりが不可欠です。以下の5つのポイントを実践することで、抜け漏れのない業務運用が可能になります。

1. 「いつ・どこへ・何を」の3点セットを明記する

各業務について、提出期限・提出先・提出書類を明確にしましょう。例えば「労働基準監督署へ労働者死傷病報告を四半期ごとに提出」「税務署へ源泉所得税を翌月10日までに納付」といった具合です。この3点セットを業務リストに記載することで、担当者が変わっても業務が継続できます。

 2. 条件注記を必ず記載する

自社の状況(従業員数・保険加入形態・業種等)によって、必要な業務と不要な業務が異なります。例えば「障害者雇用納付金は常用雇用労働者100人超の企業のみ」「労働者死傷病報告は労働災害が発生した事業所のみ」といった条件を明記し、自社に該当するかを確認しましょう。

3. テンプレートの準備と使い回し

提出様式、依頼書、届出用フォーマットなどを事前に準備し、毎年使い回すことで業務効率が大幅に向上します。特に年末調整の従業員向けマニュアルや、算定基礎届の記入例などは、一度作成すれば翌年以降も活用できます。

4. 人とツールで二重リマインド体制を構築する

担当者個人のカレンダーだけでなく、上司や同僚との共有カレンダー、Slack・メール・カレンダー通知などのツールを活用し、複数の経路でリマインドを受ける体制を整えましょう。特に提出期限の1週間前と3日前に通知を設定することで、余裕を持った対応が可能になります。

5. 年2回の棚卸しと見直しを実施する

上期・下期の終わりに、業務の進捗状況と運用ルールを見直しましょう。「この業務は不要だった」「この手順は非効率だった」といった気づきを記録し、次回の業務改善に活かします。また、法改正があった場合は即座に業務フローに反映させることが重要です。

よくある質問(FAQ)

「納期の特例」とは何ですか?

源泉所得税の納付を半年に1回にまとめられる制度です。給与の支給人員が常時10人未満の事業所が対象で、税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで適用されます。1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日が納付期限となります。

協会けんぽ加入事業所で特有の対応はありますか?

協会けんぽ加入事業所では、春の「保険料率変更確認」(毎年3月改定、4月納付分から適用)と、秋〜冬の「被扶養者状況リスト提出」(11月末期限)が代表的な特有業務です。保険料率は都道府県ごとに異なるため、必ず協会けんぽからの案内を確認してください。

従業員数が100人を超えると何が変わりますか?

常用雇用労働者数が100人を超えると、障害者雇用納付金制度の対象となり、毎年4〜7月に「障害者雇用納付金申告書」の提出が必要になります。また、障害者雇用率(法定雇用率)の達成状況に応じて、納付金の支払いまたは調整金・報奨金の受給が発生します。

労働保険の延納とは何ですか?

労働保険年度更新で決定した年間保険料を、3回に分割して納付できる制度です。概算保険料が40万円以上(労災保険または雇用保険のみの場合は20万円以上)の事業所が対象です。第1期(8月31日)、第2期(11月30日)、第3期(翌年2月末)に分けて納付することで、資金繰りの負担を軽減できます。

年末調整を遅延なく終えるコツは何ですか?

年末調整を円滑に進めるためには、以下の3つが重要です。

1. 事前準備:10月中に従業員向けマニュアルとチェックリストを作成

2. 早期配布:11月初旬に書類を配布し、回収期限を明確に設定

3. 即日チェック:回収した書類は即日チェックし、不備があれば即座に返却・再提出依頼

特に、扶養控除等申告書や保険料控除申告書の記入漏れ・添付書類不足が多いため、チェックリストを活用して確実に確認しましょう。

採用・退職時に必須の書類は何ですか?

採用時:雇用契約書、労働条件通知書、身元保証書、マイナンバー関連書類、社会保険・雇用保険の資格取得届

退職時:退職届、社会保険・雇用保険の資格喪失届、離職票(雇用保険)、最終給与・年休清算、貸与品回収リスト、源泉徴収票(退職後1ヶ月以内に交付)

特に離職票は、退職者が失業給付を受けるために必要な書類のため、退職日から10日以内にハローワークへ提出する必要があります。

まとめ

人事労務の年間業務を“抜け漏れゼロ”で遂行するためには、業務の全体像を把握し、計画的に実行する仕組みが不可欠です。
このチェックリストをデスクに常備し、毎月確認することで、提出期限の見落としや納付漏れを防ぎましょう!

もし「自社にはどの業務が必要かわからない」「年末調整や算定基礎届だけスポットで依頼したい」「法改正への対応に不安がある」といったお悩みがあれば、スポット社労士くんが専門的なサポートを提供いたします。お気軽にご相談ください。

更新日

この記事の最終更新日:2025年10月10日

出典

  • 厚生労働省(労働基準法、労働安全衛生法、雇用保険法等)
  • 日本年金機構(厚生年金保険法、健康保険法等)
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • 国税庁(所得税法、源泉徴収制度等)
  • 各都道府県労働局(労働保険、障害者雇用等)

法改正により業務内容や提出期限が変更される場合がありますので、最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。

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