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入社手続き完全ガイド|必要書類チェックリストと社会保険の手順【人事担当者必見】

目次

はじめに

新入社員を迎える際の「入社手続き」は、社会保険や税務処理など、法令に基づいた対応が求められる重要な業務です。

正確で効率的な運用が、人事担当者の信頼にも直結します。

この記事では、必要書類の一覧や行政手続きの流れ、よくあるトラブルの対処法まで、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。

入社手続きとは?|企業が果たすべき法的・実務的対応

入社手続きとは、新入社員を正式に雇用する際に必要となる一連の対応です。

社会保険の加入や税関連の届出、労働関係法令に基づく書類作成など、企業には多くの義務が課されます。

これらの手続きを正しく行わないと、法令違反や社員との信頼関係の悪化を招く可能性があります。

また、スムーズな受け入れ体制は、新入社員の不安を取り除き、円滑な立ち上がりにもつながります。

入社手続きで必要な書類一覧(社員提出・企業作成)

入社手続きでは、社員からの提出書類と企業側が作成すべき書類の両方を適切に管理する必要があります。抜け漏れが発生すると、給与支払いや保険手続きに支障をきたすため、チェックリストを活用しながら確実に進めましょう。

社員から提出を受ける書類一覧

新入社員には、一般的に以下の書類の提出を求めます。

  • 雇用契約書(本人控え・会社控え)
  • マイナンバー確認書類
  • 基礎年金番号通知書または年金手帳
  • 雇用保険被保険者証
  • 扶養控除等申告書(源泉徴収関係)
  • 前職の源泉徴収票
  • 通勤経路申請書・振込口座情報
  • 身元保証書・誓約書(企業により異なる)

新入社員には上記書類の準備を早めに案内し、入社日当日に回収するのが一般的です。漏れが無いようチェックリストを用いて管理しましょう。

企業が作成すべき書類一覧

企業側では、労務管理や法令遵守のために以下の書類を作成する必要があります。

  • 労働条件通知書(書面交付が義務)
  • 雇用契約書(署名捺印の保存)
  • 個人情報同意書(マイナンバー収集時など)
  • 社会保険・雇用保険手続き書類一式
  • 入社誓約書

上記書類は入社前に郵送し、返信用封筒を同封して返送を依頼するのが一般的です。押印が必要なものは漏れなく押印されているか、記入漏れがないかを受領後にチェックしましょう。

また社内で定型フォーマットがない場合、専門サイトのテンプレートを活用するのも一手です。契約書類は法定保存期間が定められているものもありますので、返送後は適切に保管してください。

書類収集のポイントとチェックリスト

書類の種類が多くなるため、一覧表を使って「必須」「任意」を明確に区分し、配布日・提出日を記録できるチェックシートを活用しましょう。

進捗を可視化することで、漏れや遅れを防止できます。

また、提出期限の明示も大切です。社会保険や税関連書類は法定期限があるため、「入社日」や「初回給与計算前」など社内の締切を設けて周知しましょう。提出状況は経理部門など関係部署とも共有し、初回の給与計算や保険手続きに支障が出ないように連携することが重要です。

社員から預かった重要書類はチェック後ただちに返却・保管し、情報漏洩リスクにも配慮してください。

入社時の4大行政手続き|社会保険・雇用保険・住民税・扶養控除

新入社員の受け入れに際して、企業が行うべき主要な届出は

「社会保険」「雇用保険」「住民税」「所得税(扶養控除)」

の4つです。

それぞれ提出先・期限が決まっており、漏れがあると社員に不利益が出たり、企業にペナルティが発生する場合も。

以下で概要を押さえましょう。

社会保険の資格取得届

健康保険・厚生年金保険への加入手続きとして、「資格取得届」を入社日から5日以内に年金事務所または健康保険組合に提出します(電子申請も可能)。

記載漏れの多い「基礎年金番号」や「マイナンバー」も必須です。扶養家族がいる場合は別途「被扶養者届」も提出します。

最近はマイナンバーカードが保険証として利用可能な「マイナ保険証制度」も普及しており、資格取得後すぐに医療機関を受診できるようになります。なお、パートやアルバイトでも週20時間以上など一定条件を満たせば加入が必要です。

雇用保険の資格取得届

「雇用保険被保険者資格取得届」は、入社月の翌月10日までにハローワークへ提出します。すでに雇用保険に加入していた社員の場合は、前職で使っていた11桁の被保険者番号を記載しなければいけません。番号が不明な場合は、本人の申請により再交付や番号照会が可能です。

週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば、年齢を問わず加入対象になります。

一部の法人では電子申請が義務化されている点にも注意しましょう。

住民税の特別徴収関連手続き

住民税は前年度の所得に基づき課税され、基本的に給与からの天引き(特別徴収)で納付します。

前職で特別徴収だった社員の場合、退職と同時に普通徴収に切り替わることが多いため、新しい会社で再び特別徴収に変更する手続き(切替届)を行います。

前年に収入がない新卒社員は、その年度の住民税は課税されないため、天引きは発生しませんが、翌年度に備えて住民税情報は確認しておきましょう。

源泉徴収票・扶養控除申告書の確認

入社時には「扶養控除等申告書」の提出が必須です。提出が遅れると扶養なしとして計算されるため、所得税額が一時的に高くなってしまいます。

中途入社の場合は、前職分の源泉徴収票も必要です。年末調整を行うために11〜12月までには必ず提出してもらいましょう。入手が難しい場合は、税務署に「不交付届出書」を提出する方法もあります。

これらの手続きは提出期限や記載項目の不備、自治体ごとの対応の違いなど、実務上のつまずきが非常に多い領域です。限られた人員で正確に処理するには、社会保険労務士の専門的な支援を受けることをおすすめします。

スポット社会保険労務士法人では、入社手続きを含む人事労務の各種届出を、企業の実情にあわせてサポート。ミスのない処理体制を整えることで、新入社員の信頼獲得にもつながります。詳しくはこちら→

法定三帳簿の整備|入社時に作成が必要な記録とは?

企業は労働者を雇い入れた際に、「法定三帳簿」と呼ばれる3つの帳簿を作成・備え付ける義務があります。法定三帳簿とは「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の三つです。

それぞれ労働基準法や関連法令・ガイドラインで整備・保存が義務付けられており、入社時に新入社員の情報を記録しておく必要があります。

労働者名簿

社員ごとの身元情報を記録する名簿です。

氏名、生年月日、性別、住所、雇入日、契約期間(有期の場合)などを記載します。

労働基準法第107条により、すべての労働者について、使用者は労働者名簿を調製することが義務付けられています。入社時に新入社員の情報を名簿に追記し、退職後も5年間保存することが法定されています。

賃金台帳

 給与の支払い状況を記録する台帳です。

賃金額、各種手当、控除額、労働日数・時間数などを社員ごとに記入します。

労働基準法第108条で事業場ごとに作成・備え付け義務が定められており、正社員はもちろんアルバイトやパート、短期労働者についても一人残らず作成しなければなりません。こちらも5年間の保存義務があります。

出勤簿(またはタイムカード記録)

労働時間の出退勤記録です。

出勤日・勤務時間・休日などを社員別に記録します。

出勤簿自体は労働基準法に明文規定はありませんが、厚生労働省のガイドラインにより適正な労働時間管理のため作成が義務付けられています。紙の出勤簿のほか、タイムカードや勤怠管理システムの記録でも構いませんが、全従業員分を漏れなく保存するようにしましょう

これら三帳簿は、労働基準監督署の調査等で提出を求められる場合もあるため、正確かつ継続的な整備が欠かせません。特に従業員数が増えてくると作成・管理に手間がかかるため、システム導入や社会保険労務士との連携を通じて効率化を図ることも有効です。

「社内にリソースが足りない」「法令対応に不安がある」と感じる場合は、プロのサポートを活用するのが最適です。

スポット社会保険労務士法人では、法定三帳簿の整備や労務体制の見直しまで、一貫した実務支援をご提供しています。日々の労務管理を安心して任せられる体制づくりを、ぜひ一緒に進めていきましょう。

詳しくはこちら→

受け入れ準備|設備・備品・IT環境・マニュアル整備

入社当日をスムーズに迎えるためには、事前の受け入れ準備も不可欠です。人事部門だけでなく、総務・情報システム部門など関係部署との連携が求められます。

主な準備項目は以下のとおりです。

  • 執務スペースの確保:デスク・椅子・照明・文具などの物理的な準備
  • IT機器の手配:PC・メールアカウント・社内システムIDの発行、設定
  • 制服や名刺の用意:業種に応じて支給物の準備
  • 社内ルールの共有:就業規則・社内マニュアルの配布と初期説明

入社初日の段階で必要な環境が整っていないと、新入社員に不安や不満を与えてしまいます。事前にチェックリストを作成し、部署横断で準備状況を確認しておきましょう。

入社手続きで本当に多い“6つのトラブル”とその回避法

どんなに準備をしていても、入社手続きでは思わぬ“トラブル”が起こることがあります。ここでは現場でよく直面する6つのケースを取り上げ、その原因と対処法・予防策を解説します。

基礎年金番号がわからないとき

新入社員が年金手帳を紛失していたり、「手帳をもらっていない」と思い込んでいたりするケースはよくあります。2022年以降に20歳を迎えた人には「基礎年金番号通知書」が交付されていますが、本人がその存在を認識していないこともあります。

マイナンバーがあれば社会保険の届出は可能ですが、基礎年金番号が不明な場合、手続きが差し戻されるリスクがあります。事前に「年金手帳や番号通知書を持参するように」と案内することでトラブルを防ぎましょう。

雇用保険被保険者番号が不明なとき

被保険者証を紛失していたり、前職からもらっていないという相談も多く見られます。番号が不明でも手続き自体は可能ですが、処理に時間がかかることがあります。

このような場合には、ハローワークで番号を照会・再交付してもらうか、履歴書に記載された前職情報を添付する方法があります。内定通知時点で「被保険者証の提出」を案内し、早めに確認を促しておくとスムーズです。

前職から源泉徴収票がもらえないとき

「前の会社から源泉徴収票が届かない」といった声も多く聞かれます。これがないと年末調整ができず、社員自身が確定申告を行わなければいけません。

まずは本人から再請求してもらい、それでも入手できなければ税務署へ「不交付届出書」を提出する方法もあります。入社時に「提出期限」や「取得方法」を案内しておくと良いでしょう。

新しい健康保険証が届かないとき

資格取得届を出したものの、健康保険証がなかなか届かないケースも発生します。協会けんぽや健康保険組合の処理・発送が遅れると、社員が医療費を一時全額負担する事態も。

実際には、資格取得日から健康保険は有効ですので、後日「療養費支給申請」をすれば返金されます。また、資格証明書の発行も可能なので、病院受診の予定がある場合は事前に案内しておくと良いでしょう。

マイナンバーが未提出・間違っていたとき

マイナンバーの未提出、あるいは桁数間違いや旧姓での誤提出など、入力ミスも多く見られます。社会保険・税手続に必要な情報のため、正確な記載が不可欠です。

番号の再確認を依頼するほか、本人確認書類とあわせて正式な方法で収集する必要があります。入社時に提出手順を明記し、安全管理のルールも社内で徹底しておきましょう。

社会保険の資格取得届が間に合わないとき

入社後5日以内という届出期限に間に合わないと、保険料の遡及徴収や加算金など、会社に大きな負担が生じます。社員にも不利益が及ぶ可能性があります。

遅延が判明したらすぐに届出を行い、必要に応じて遅延理由書を提出しましょう。提出漏れを防ぐには、タスク管理や電子申請システムの導入が有効です。

追加で必要となる特殊ケースの手続き

通常の入社手続きに加えて、社員の属性や状況によっては追加の対応が必要になることがあります。以下、主なケースとポイントを紹介します。

外国籍の社員

外国人を採用する場合、まず在留カードで就労可能な資格か確認が必要です。社会保険手続きでは、マイナンバー未取得のケースもあるため、その際は基礎年金番号と「ローマ字氏名届」を使って対応します。また、「外国人雇用状況の届出」は入社翌月末までにハローワークへ提出が必要です。

ダブルワーク・副業社員

複数の会社で働く社員には、社会保険の加入判断や税手続きが複雑になります。社会保険については、労働時間を合算し加入が必要な場合、「二以上事業所勤務届」を本人が提出します。雇用保険は主たる勤務先のみ加入可能。扶養控除申告書は1社だけに提出し、副業先には提出しない旨の届出を行います。

高年齢の新入社員

60歳以上や定年後再雇用の場合も、原則として社会保険・雇用保険ともに加入します。注意すべきは、厚生年金受給者が就労すると年金の一部停止が発生する点。届け出が遅れると過剰に受け取った年金の返納が必要になることがあるため、事前に情報連携を行っておくことが大切です。

扶養家族がいる場合

被扶養者がいる社員は、健康保険の「被扶養者異動届」が必要です。収入証明や続柄証明などを求められることもあるため、提出書類の案内は丁寧に行いましょう。また、社員自身が他人の扶養に入っていた場合は、その扶養からの離脱手続きも確認が必要です。

障がい者雇用の場合

障がい者を雇い入れた場合、入社時の特別な届出はありませんが、企業の規模によっては「障害者職業生活相談員」の選任が求められることがあります。職場の合理的配慮や設備対応も必要となるため、関係部署と連携して準備を進めましょう。

特殊なケースでは、通常のフローでは対応しきれない場面も多いため、必要に応じて所轄の官公庁や社労士へ相談しながら進めると安心です。スポット社会保険労務士法人では、こうしたイレギュラーな手続きについてもご相談を承っております。詳しくはこちら→

まとめ|入社手続きは「仕組み化」でミスゼロ&負担ゼロへ

入社手続きは、法律や提出書類が多く複雑に感じられますが、全体の流れを整理して対応すれば、決して難しいものではありません。大切なのは、業務を担当者任せにせず、社内で仕組み化することです。

チェックリストやマニュアルの整備に加え、電子申請システムや社労士のサポートを活用すれば、手続きの精度とスピードは大きく向上します。

正確でスムーズな入社手続きは、新入社員の安心感につながり、企業にとっても法令遵守と人材戦力化の第一歩になります。ぜひ本記事を参考に、自社のフローを見直し、「誰でも対応できる」体制づくりを進めましょう。

最終更新日

最終更新日:2025年10月17日

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