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freeeの残業単価、去年のままかも|平均所定労働日数は毎年見直しを

この記事は、社会保険労務士法人スポット社労士くんが監修しています。
今年から会社の休みを5日増やした。基本給も残業時間も、去年と同じ。それでも計算される残業代が変わることがあります。
月給30万円・1日の所定労働時間8時間の方で、年間の所定労働日数が250日から245日になった場合を計算してみると、月30時間の時間外労働で約1,380円の差が出ます。同じ条件の方が10人いれば、年間で約16万5,000円の差です。
確認するのは、残業時間に掛ける「1時間あたりの単価」です。そして、その単価を計算する際の分母になっている「1ヶ月の平均所定労働日数」という設定が重要です。
休日数を変更した場合、この数字に影響が出ている可能性があります。
まず、どの従業員が対象になるか
この設定の影響を受けるのは、この勤務・賃金設定で残業単価を自動計算している従業員です。会社の全員に一律に影響するわけではありません。まずは、どの従業員が対象になるのかを切り分けて確認しましょう。
- 影響する……給与形態が月給で、1時間あたりの賃金の算出方法が「自動計算」になっている従業員
- 影響しない……1時間あたりの賃金を「直接指定」している従業員(単価を直接入れているため、平均所定労働日数は単価計算に使われません)
- 別途確認が必要……勤務・賃金設定を複数作成している場合。平均所定労働日数は設定ごとに持っている数字なので、「設定Aだけ古い」ということが起こります
- 考え方が別になる…フレックスタイム制の場合。控除は清算期間の「不足時間」で計算します
算出方法は、[従業員]→[従業員情報]→ 該当する従業員の方 →「基本給と割増賃金」の「勤務・賃金設定の勤務時間設定」項目で確認できます。「使用する」になっていれば自動計算です。
残業代は、3つの数字のかけ算です
freee人事労務の残業手当の計算式は、公式ヘルプにこう書かれています。
「残業手当」の計算式は、次のとおりです。
[1時間あたりの単価] × [割増率] × [対象となる労働時間]
freee人事労務ヘルプセンター「「残業手当」の給与計算結果に差額が発生した場合の解決方法」(2026年9月時点)
右の2つ、「割増率」と「対象となる労働時間」は、毎月の給与計算で目に入ります。問題が生じていれば、気づくことができます。
一方、左端の「1時間あたりの単価」は、問題が生じていても気づきづらいポイントです。これは毎月自動で計算されますが、その計算のもとになる数字は、導入時に一度入力したきりになっていることがあります。
単価の分母が「1ヶ月の平均所定労働日数」です
月給者の「1時間あたりの賃金」を、freeeは次のように計算しています。
「月給」の場合:
1時間あたりの賃金 = {基本給+手当金額(「割増・控除の計算に含める」設定の手当)}÷ 1ヶ月の平均所定労働日数 ÷ 1日の所定労働時間freee人事労務ヘルプセンター「freee人事労務での給与の計算式」(2026年9月時点/1ヶ月の平均所定労働時間を「自動計算」で設定した場合)
法令上、割増賃金の計算で分母となるのは、「1時間あたりの賃金」を算出するための時間単位の数字です。月給制の場合では、月によって所定労働時間数が異なるときは「1年間における1月平均所定労働時間数」で割ることとされています(労働基準法施行規則第19条第1項第4号)。
では、なぜfreeeでは「時間」ではなく「1ヶ月の平均所定労働日数」を入力するのでしょうか。
freeeでは、法令上の計算に使う「1月平均所定労働時間」を、[1ヶ月の平均所定労働日数]×[1日の所定労働時間]という形で計算しています。つまり、freeeに「1ヶ月の平均所定労働日数」を入力することで、そこから「1月平均所定労働時間」を算出し、その時間を1時間あたりの賃金の計算に使っているということです。
そのため、入力欄は「時間」ではなく「1ヶ月の平均所定労働日数」になっています。
なお、平均所定労働時間を直接入力する設定方法もあります。
入力する場所は、[設定]→[勤務・賃金]→ 該当の設定 →「出退勤時刻と労働時間」です。
5日の違いを、金額にしてみます
月給30万円、1日の所定労働時間8時間の従業員で、年間の所定労働日数が250日の場合と245日の場合で比べてみましょう。
freeeでは、1ヶ月の平均所定労働日数を小数点第4位まで設定できます。実際に入力する桁に合わせて計算します。
| 年間所定労働日数 | ÷12 | 入力する値 (小数第4位) | 1時間あたりの単価 |
|---|---|---|---|
| 250日 | 20.833333… | 20.8333日 | 1,800.00円 |
| 245日 | 20.416666… | 20.4167日 | 1,836.73円 |
単価の差は約36.73円。時間外労働の割増率1.25倍をかけると、残業1時間あたり約46円の差になります。
- 月30時間の残業で…… 約1,380円/月
- 1年で…… 約1万6,500円/人
- 同じ条件の方が10人いれば…… 年間で約16万5,000円
1人あたり、残業1時間で数十円の話です。だから気づきにくい。気づかないまま、人数と月数だけが積み上がります。
この数字は、毎年確認が必要です
これはfreeeの公式ヘルプが、はっきり書いています。
平均所定労働日数は毎年更新することになります。1年ごとの国民の休日や、会社独自の休日(特別休日)の数によって計算を行ってください。
freeeでは、1ヶ月の平均所定労働日数を小数点第4位まで設定可能です。端数については、四捨五入するなど適宜処理を行った上で数値をご入力ください。
freee人事労務ヘルプセンター「平均所定労働日数はどのように計算すればよいですか?」(2026年9月時点)
年間の所定労働日数は、次のような理由で変わることがあります。毎年必ず変わるわけではありませんが、変わっていないことも含めて、毎年確かめる必要がある数字です。
- 祝日が土曜日・日曜日に重なる年と、平日に重なる年がある
- 年末年始・夏季休暇の日数を、その年のカレンダーに合わせて決めている
- 会社カレンダーや所定休日そのものを見直した
- うるう年がある
そしてfreeeは、この数字を入力された値のまま保持します。新しい年になっても、会社カレンダーを変えても、自動では計算し直しません。「毎年更新することになります」というのは、会社側で毎年確認・更新する作業だという意味です。
ずれる向きで、意味が変わります
「1ヶ月の平均所定労働日数」は、freeeで残業単価を計算するときの「分母」です。そのため、実際の数字と比べて多いのか少ないのか、「ずれる向き」によって、検討すべきことが変わります。
- 実際より多い日数が入っている……単価が低くなります。残業代が本来の水準に届かず、未払いが生じている可能性があります。優先して確認が必要です。
- 実際より少ない日数が入っている……単価が高くなります。ただしただちに「払い過ぎ」とは言えません。労働者に有利な計算方法を賃金規程や労働契約で定めている場合があります。まず規程・契約・設定の根拠を確認してください
後者について補足します。規程等で定めた計算方法を会社の都合で引き下げることは、労働条件の変更にあたります。単価が高いとわかっても、設定を書き換えれば済む話にはなりません。従業員との合意や就業規則の変更など、変更の内容に応じた手続きが必要です。(参考:厚生労働省「労働条件の変更」)
所定労働日数は減ります。設定を古い、つまり実際より多い日数のままにしていると単価は低いままになるため、未払いにつながる方向にずれやすいため注意が必要です。
勤怠控除にも影響しますが、設定は別です
欠勤控除・遅刻早退控除の単価にも、同じ「1ヶ月の平均所定労働日数」が使われます。そのため、同じ設定を使っている範囲では控除額にも影響します。
ただし、控除の計算に含める手当は「勤怠控除の基礎に含める手当」という別の設定で決まります。割増賃金の基礎に含める手当とは範囲が異なる場合があり、端数処理も別に設定します。「残業代と同じだけずれる」とは限りません。控除については、控除側の設定も確認してください。
(参考:freee人事労務ヘルプセンター「「勤怠控除」の給与計算結果に差額が発生した場合の解決方法」)
5分でできる確認
次の手順で、設定が合っているか確認してみましょう。
- 今年の会社カレンダーから年間所定労働日数を数え、12で割る(小数点第4位まで)
- freeeで[設定]→[勤務・賃金]→ 該当の設定 →「出退勤時刻と労働時間」の「1ヶ月の平均所定労働日数確認し手順1で計算した数字と見比べる。勤務・賃金設定が複数あれば、すべて確認する
- 賃金規程・労働契約書に単価の計算方法の定めがあるか確認する(規程の定めが優先される場合があります)
- 数字がずれていたら、いつからその数字が設定されているのかとその対象者は誰かを確認する
実際に適用されている単価は、[従業員]→[従業員情報]→ 該当の従業員 →「基本給と割増賃金」で確認できます。給与明細の勤怠控除の金額をクリックすると、内訳(給与ドリルダウン)から計算過程をたどることもできます。手計算の結果と突き合わせてみて、設定に問題がないか確認してみてください。
差が見つかったときに、やること
差が見つかった場合も、設定をすぐに修正できるわけではありません。この項目は、給与明細を1回でも確定すると編集できなくなります。
また、編集できない項目には、対象の勤務・賃金設定の編集画面に鍵アイコンが表示されます。
鍵アイコンが表示された項目を含め、勤務・賃金設定を編集したい場合は、次の方法で対応します。
勤務・賃金設定をコピーで新規作成し、必要な箇所を変更してから従業員へ適用するfreee人事労務ヘルプセンター「「勤務・賃金設定」画面で、変更できない項目がある場合はどうしたら良いですか?」(2026年9月時点)
つまり毎年更新が必要な数字である一方、更新するには設定をコピーして新しく作り直し、対象の従業員に適用し直すことになります。
そして、ここが大事なところです。新しい設定を作って適用すれば、それ以降の給与計算は正しい設定が反映されます。ただし、すでに確定した過去の給与まで自動的に修正されるわけではありません。作業は、次の2つに分けて考える必要があります。
- これから……正しい日数の勤務・賃金設定を作成し、適用開始月を決めて対象者に適用する
- 過去分……いつから差が出ていたか、対象者は誰か、実際の支払実績はどうだったかを整理し、再計算して精算範囲を決める。賃金請求権には時効の定めがあります(参考:厚生労働省「賃金請求権の消滅時効は、どのように変更されたのでしょうか?」)
「設定を直したから終わり」ではなく、過去分の確認・整理まで含めて1つの作業だと考えてください。設定の修正を後回しにすると、その間も誤った設定による給与計算が続き、確認や精算が必要となる期間も長くなります。差が見つかった時点で、対象者や過去の適用期間を含めて早めに確認することが重要です。後回しにすると来年も再来年も後回しになり、対象期間だけが伸びていきます。
端数処理は、どの段階を見るか
端数は1か所ではなく、計算の段階ごとに設定があります。確認するときは、どの段階の端数処理かを分けてください。
- ①1ヶ月の平均所定労働日数の入力値(小数点第4位まで)
- ②1時間あたりの賃金(単価)の端数
- ③割増賃金額の端数
- ④最終的な支給額の端数
なお、単価の端数処理について、freeeは「端数処理において切り捨てを行う切り捨ては、労働基準法上認められていないため、対応しておりません」と説明しています。つまり、単価の端数処理については、選べる選択肢がそもそも限られている、ということです。
(参考:大阪労働局「よくあるご質問(時間外労働・休日労働・深夜労働)」、和歌山労働局「主な相談内容 – 事業主の方へ」)
まとめ
- 残業代は[1時間あたりの単価]×[割増率]×[労働時間]。このうち、1時間あたりの単価の分母になっているのが「1ヶ月の平均所定労働日数」
- 影響するのは月給かつ単価を「自動計算」にしている従業員。「直接指定」は対象外。設定が複数あれば設定ごとに確認
- freee公式が「平均所定労働日数は毎年更新することになります」と明記。休日の数が変われば変わる数字で、freeeは自動更新しない
- 古い(多い)日数のままだと単価が低くなり、未払いの側に倒れやすい
- 逆に単価が高い場合も、すぐ「払い過ぎ」と決めない。規程・契約の定めを確認する。引き下げは労働条件の変更の問題になる
- 給与明細を確定しているとこの項目は編集できない。設定をコピーして作り直し、適用し直す。過去分の再計算は別作業
- 1人あたり数十円だから気づかない。人数×月数で積み上がる
給与計算は毎月エラーなく終わります。それは「入力された数字どおりに計算できた」という意味であって、「その数字が今年のものである」という意味ではありません。
御社の作業は、5分だけです
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監修
社会保険労務士法人スポット社労士くん
監修日:2026年9月29日
※ 記事中の金額は、月給30万円・1日の所定労働時間8時間・年間所定労働日数250日/245日を前提とした計算例です。freeeの確定支給額をそのまま再現した数値ではありません。実際の単価は、割増・控除の基礎に含める手当の設定、端数処理の設定、賃金規程の定めによって異なります。
※ 単価の計算方法や端数処理の取扱い、賃金請求権の時効は、法改正により変わります。実際の判断にあたっては、厚生労働省および所轄の労働基準監督署の最新の案内をご確認ください。
※ 本記事で紹介しているfreee人事労務の仕様は2026年9月時点のものです。仕様は変更される場合がありますので、最新の情報はfreee公式ヘルプセンターをご確認ください。
※ freee/freee人事労務は フリー株式会社 の登録商標です。



























