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その金額、「目安」です ─ freeeの社会保険設定でいちばん多い見落とし

この記事は、社会保険労務士法人スポット社労士くんが監修しています。
freeeで給与計算をされている会社に、一度だけ確認していただきたいことがあります。
「ある設定」が実際の届出内容とずれていて、毎月の社会保険料の計算を間違えているかもしれません。
その場合、まず問題になるのが、毎月の給与計算で社会保険料を正しく計算・控除できなくなり、保険料の控除不足や過払いが生じることです。
さらに、その間違った設定をもとに社会保険の届出まで行っていると、社員の方が受け取る厚生年金や、病気や出産で休んだときの手当が、本来より少なくなってしまうかもしれません。
毎月の給与計算はエラーもなく終わっています。freeeの画面も普通に見えます。だからこそ、トラブルが発覚するその日が来るまで誰も気づきません。
実際に、こんなことが起きています
病気で休んだ社員から「傷病手当金が思っていたより少ない」と言われた
病気やケガで働けない間、健康保険から「傷病手当金」が支給されます。この金額は、実際の給与ではなく会社が届け出た金額をもとに計算されます。届出額が実態より低いままだと、受け取れる額もその分少なくなります。
産休に入った社員の出産手当金が、思ったより少なかった
出産で休んでいる間の「出産手当金」も「傷病手当金」と計算の仕組みは同じです。働けない期間の生活を支えるためのお金なので、金額の差は本人にとって大きな問題になります。
年金事務所の調査で、過去にさかのぼって保険料を請求された
届出額が低いということは、会社が納めるべき保険料も少なかったということです。年金事務所の調査で誤りが判明すれば、原則として過去2年間までさかのぼって不足分の保険料の納付を求められることがあります。社員の負担分も含まれるため、すでに退職した方の分をどうするかという問題につながることもあります。対象となる社員が多く、誤りが長期間続いているほど、確認・再計算・精算にかかる手間も大きくなります。
そして、社員が将来受け取る厚生年金の額も同じ金額から計算されます。低い記録が残っていれば、その分だけ受け取る年金額にも影響する可能性があります。
原因は、ひとつの数字のずれです
社会保険料は、毎月の給与額から毎回直接計算されているわけではありません。会社が年金事務所に届け出た「社会保険上の給与額」をもとに計算されます。専門用語では標準報酬月額と呼びます。
標準報酬月額は、社会保険料だけではなく、次の給付や年金額に大きく関係します。
- 毎月の社会保険料(会社負担分と社員負担分の両方)
- 将来受け取る老齢厚生年金の額
- 病気や怪我で休んだときに受け取れる傷病手当金
- 出産で休んだときに受け取れる出産手当金
- 万一のときに従業員のご家族が受け取る遺族厚生年金
- 障害を負ったときに受け取る障害厚生年金
標準報酬月額が実際の報酬より低く設定されていると、社会保険料の計算や給与からの控除に誤りが生じるだけではありません。
間違った設定をもとに社会保険の届出を行っていると、社員の方が受け取る厚生年金や一部の給付金にも影響する可能性があります。
なぜ、ずれるのか
freeeで社員を登録すると、この金額が自動で入ります。多くの方が「freeeが正しく計算してくれた」と思って、そのままにしています。

ですが、freee自身がこの金額を「目安の金額」と呼んでいます。正確な値ではない、という意味です。
理由は単純で、この金額は、ソフトではなく、会社の届出内容を元に年金事務所が最終決定するからです。会社が届け出て、年金事務所が決定し、通知書が届く。freeeはこのやりとりの外にいるので、正式な決定を知りようがありません。できるのは、手元にある基本給から「だいたいこのくらい」と推定することだけです。
推定なので、手当が反映されず低くなることがあります
標準報酬月額として届け出るべき賃金は、基本給だけではありません。通勤手当や役職手当、住宅手当、固定残業代なども含めた額です。
ところが社員を登録するとき、作業はこの順番で進みます。
- 社員を追加する ← この時点で、基本給だけをもとに標準報酬月額の目安金額が入る
- そのあとで通勤手当を登録する
- そのあとで役職手当などを登録する
ここで注意したいのが、②③で諸手当を足しても、①で入った標準報酬月額が再計算されない点です。手当の分だけ低い標準報酬月額が、そのまま残ります。
会社は、どの手当が社会保険の算定対象となるのかを踏まえて、実際の報酬と届出内容を確認する必要があります。ソフトが給与や手当の内容を見て「この手当も社会保険に含めるべき」と最終的に判断してくれるわけではありません。
そのため、手当などが反映されないままになっていると、実際の報酬より低い標準報酬月額が登録されたままになることがあります。

なお、通勤手当は税金では一定額まで非課税ですが、社会保険では全額が対象です。ここも間違えやすいところです。
一度ずれると、自然には直りません
社会保険の標準報酬月額は、毎年7月に提出する「算定基礎届」をもとに定時決定され、原則として9月から新しい標準報酬月額に改定されます。
また、昇給などによって固定賃金が変わり、一定の条件を満たした場合には「月額変更届」を提出する必要があります。これにより年の途中で標準報酬月額が改定されるケースもあります。
ただし、その手続きをしてもfreeeの登録は自動では変わりません。年金事務所から通知書が届いたら、会社がfreeeに手動で入れ直す必要があります。
「届出をしたこと」と「freeeに反映すること」は、別々の作業だということです。ここが抜けると、9月から新しい標準報酬月額となり、控除額も変更になるはずなのに、社会保険料の控除額は変更前と同じまま——という状態が生まれます。
高すぎる場合も、損をしています
ここまで「低い場合」の話をしてきましたが、逆のケースにも注意が必要です。
freeeに登録されている標準報酬月額が実際より高いと、社員から控除する社会保険料も本来より高くなり、社員の手取りが本来より毎月少なくなります。社会保険料は会社と社員が半分ずつ負担するので、会社も余分に払っていることになります。
人数が多いほど、期間が長いほど、金額は大きくなります。
さらに注意したいのが、退職者への影響です。退職後に誤りが判明すると、すでに退職した社員への返金などの対応が必要になる可能性があります。
「今は在籍している社員だけの問題」と考えず、過去の登録や給与計算まで確認することが大切です。
標準報酬月額の設定は気づけば「今すぐ」直せます
不安になった方もいるかもしれませんが、誤りの理由によっては、後から訂正できます。
日本年金機構は、基本給などの計算を誤っていた場合は訂正できるとしています。freeeが自動で設定する標準報酬月額は、基本給をもとにした目安のため、手当を含めずに届け出ていたのであれば、届出内容を訂正できます。
一方で、届出後に「思ったより残業が多かった/少なかった」という理由では、標準報酬月額を訂正できません。残業などの非固定的賃金は、実際の支給額に応じて定時決定や随時改定などの仕組みで標準報酬月額に反映されます。
ただし、手当の種類や性質など、個別の事情で判断が変わりますので、悩んだ場合は社会保険労務士か年金事務所にご確認ください。大事なのは、早く気づくほど傷が浅く済むということです。
5分でできる確認
標準報酬月額は、ずっと同じ金額のままではありません。入社時や給与が変わったとき、毎年の定時決定など、一定のタイミングで決定・改定されます。
特に注意したいのは、次の3つのタイミングです。
【1】入社したとき
入社時の社会保険の資格取得手続きで、標準報酬月額が決まります。
【2】昇給・降給や手当の追加・廃止などがあったとき
固定的な賃金が変わり、一定の条件を満たすと、年の途中でも標準報酬月額が改定されます。手当の追加や廃止があった場合も、標準報酬月額の見直しが必要になることがあります。
【3】毎年9月
毎年7月に提出する「算定基礎届」の内容をもとに定時決定が行われ、原則として9月から新しい標準報酬月額が適用されます。
この3つのタイミングで、届出内容とfreeeの登録が合っているかを確認しておくと安心です。
しかし、全員分の設定をすぐに見直す必要はありません。ずれが見つかりやすい方から確認してください。
- 最近入社した方……手当が反映されていない可能性があります
- 手当が多い方……基本給との差が大きいほど、ずれも大きくなります
- この1年で昇給・役職変更があった方……見直しが漏れている可能性があります
確認の手順は3つです。
- freeeで[従業員]→[従業員情報]→ 対象の方 → 左メニューの「社会保険」を開く
- 年金事務所から届いた決定通知書と金額を見比べる
- 通知書と合っていても、直近の給与明細の総支給額と大きく離れていないか見る

ひとつ注意点があります。freeeの画面には「健康保険」と「厚生年金保険」で別々に金額を入れる欄があります。片方だけ直して、もう片方を忘れるケースがよくあるとfreee自身も注意していますので、必ず両方を確認してください。
まとめ
- 社会保険料も厚生年金も傷病手当金・出産手当金も、会社が届け出た「標準報酬月額」から計算される
- freeeが自動で入れるのは基本給だけをもとにした概算の標準報酬月額。freee自身も「目安の金額」と呼んでいる
- 諸手当を後からfreeeに登録しても計算し直されない
- 本来より低い標準報酬月額で届出を行えば社員が受給できる厚生年金と傷病・出産手当金が減り、会社は社会保険料を遡って請求される。標準報酬月額が高いままだと会社も社員も保険料を支払い過ぎてしまう
- 「算定基礎届」や「月額変更届」を提出して標準報酬月額が改定されても、freeeへの反映は手動でいれる必要がある
- 標準報酬月額は気づけば「今すぐ」直せる。早いほど傷は浅い
freeeは、正しく設定すれば非常に優れたソフトです。ただ「いくらで届け出るべきか」の判断まではソフトはできません。freeeが自分の計算結果を「目安」と呼んでいるのは、その線引きを正直に示した言葉だと思います。
御社の作業は、5分だけです
「どの社員がずれているか」を見つけるところを、プロである社会保険労務士がまとめてお引き受けします。
当事務所のfreee設定検診で御社にお願いするのは、freeeに閲覧用のアカウントを招待していただくことだけです。所要時間は5分ほど。資料をご用意いただく必要も、社内で集計していただく必要もありません。
あとはこちらで、在籍している方を一人ずつ、人数の上限なく点検します。ずれている方は名指しでお知らせし、「要是正/要確認/問題なし」の3段階判定をつけたレポートと、30分の面談で結果をお伝えします。
- 御社の作業は、freeeへの閲覧招待だけ(約5分)
- データは読み取りのみ。設定の書きかえは一切しません
- 点検が終われば、閲覧権限は解除していただいて構いません
- 顧問契約は不要です。この点検だけのご利用でも問題ありません
- 従業員数による追加料金はなく、人数の上限もありません
社会保険の標準報酬月額は、毎年9月に切り替わります。いま確認しておけば、次の切り替えを正しい状態で迎えられます。
設定検診 33,000円(税込)。freeeの設定・社会保険と雇用保険の登録・従業員ごとの内容を全数点検し、レポートと30分のオンライン面談でご説明します。
「お申し込みはこちら」
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監修
社会保険労務士法人スポット社労士くん
監修者:河崎 素良(かわさき そら)/スポット社労士くん社会保険労務士法人・特定社会保険労務士
監修日:2026年9月9日
※ 届出の要件や各給付の計算方法、保険料の取扱いは改正により変わります。実際の判断にあたっては、日本年金機構および加入している健康保険組合・全国健康保険協会の最新の案内をご確認ください。
※ 掲載しているfreee人事労務の画面は、freeeヘルプセンターに掲載されているもの(2026年9月9日取得)です。仕様は変更される場合がありますので、最新の情報はfreee公式ヘルプセンターをご確認ください。
※ freee/freee人事労務は フリー株式会社 の登録商標です。



























