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労働問題

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2024.06.10

タイムカードの打刻時間=出勤時間?職場のグレーゾーン問題を考える

「労働法的にアウトかもしれないけど、よく分からないのでそのままにしている…」 

この記事では人事労務担当者・経営者の皆さまが直面する、職場の「あるある」(グレーゾーン問題)を集めました。

実際にあった裁判の事例から、訴訟を防ぐための対策についても解説します

労働時間とは?定義を確認しよう

労働時間の上限は、労働基準法により「原則1週間40時間、1日8時間」と定められています。

これを超える労働がある場合、法定時間外労働(いわゆる残業)という取り扱いになります。

休憩時間は、労働基準法では「労働者が権利として労働から離れる」状態を指します。

労働時間が「6時間を超え、8時間以下」の場合は途中に45分の休憩時間を、労働時間が「8時間を超える」場合は途中に1時間の休憩時間を取らせることが企業の義務です。
具体例として、昼休みに電話や来客対応をする場合を考えてみましょう。
労働者が権利として労働から離れる」という休憩時間の定義から、厚労省は「昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされ、勤務時間に含まる(=休憩時間には該当しない)」としています。

そのため、電話や来客対応により昼休みが費やされてしまった場合、会社側は別途休憩を与える必要があります。

参考:厚生労働省ホームページ 

 

 

裁判事例から考えるグレーゾーン問題

タイムカードの打刻時間=出勤時間?「北陽電機事件」(1989年)

営業職の従業員がタイムカードに記録された時間に見合った賃金が支払われていないとして、会社を訴えました。

大阪地方裁判所「一般に、会社においては業員の出社・退社時刻と就労開始・終了時刻は峻別され・・・(タイムカードは)従業員の労働時間を算定するために設置されたものではない」

直行・直帰の場合のタイムカードの記載方法は統一されていなかったことから、カードに記載された時刻は、就労の始期・終期と認められない」

 

従業員の労働時間はタイムカードに打刻・記載された時刻によって確定できない

→従業員の訴えは無効

 

企業の対策

タイムカードの目的を明確にして従業員に周知する(労働時間の記録か、単なる遅刻・欠勤記録か)

直行直帰する等、出社して勤怠記録を付けることが難しい場合の勤怠申請方法を決めて、従業員に周知する→タイムカードを使わないで、勤怠管理をスムーズに行う方法

参考:公益社団法人全国労働基準関係団体連合会 労働判例検索ID4744「北洋電機事件」

 

「客のいないタイミングは休んでOK」これって休憩時間?「すし屋杉事件」(1981年)

この飲食店では、従業員は「22時頃~24時頃までの間に、客がいない時などを見計らって適宜休憩してよい」とされていました。

元店員が「客が来た時には対応する必要があり、勤務時間とするべき」として店側を訴えました。

 

大阪地方裁判所完全に労働から離れる保障された時間ではなく賃金計算上勤務時間として扱われるべきものであった」

会社は割増賃金等を支払うことに

 

企業の対策
「労働基準法」の休憩時間の定義=「労働者が権利として労働から離れる」状態になっていない場合は、勤務時間とみなされ、働いた分の賃金を支払う必要があります。休憩時間は自由時間とし、会社の監督下におかないようにしましょう。

 

参考:公益社団法人全国労働基準関係団体連合会 労働判例検索 ID7361「すし屋杉事件」

 

仕事に関係のないチャットは労働時間に含まれるドリームエクスチェンジ事件(2016年)

1日およそ2時間チャット使用する従業員がいました。

内容は業務に関係のあるものと、ないものが混在。

会社はチャットの使用時間は労働時間には含まれないとして、従業員に支払った給与の一部撤回を求めました。

 

東京地方裁判所

明らかに業務に関係のない話をしていた時間を特定するのが困難であるため、使用者の指揮命令下から離脱している(=休憩時間)とはいえず、労働時間に当たる」

会社の給与支払い撤回は認められず

 

企業の対策
東京地裁は判断理由の1つに該当従業員に対して注意を一度もしなかった」など、会社の指導責任指摘しています。対策として、日ごろから社内チャットの使い方について注意指導を行い、問題が発覚した際の処分方法を、従業員に周知しておきましょう。

 

参考:弁護士が教えるいちばんわかやすい労働裁判集(労働行政出版、2018年)

 

歓迎会の送迎途中の交通事故は労災になる?「行政労基署長(テイクロ)事件」(2016年)

従業員が運転する車が、歓迎会の会場から参加者を自宅に送り届ける途中で事故に遭い、死亡する事件が起こりました。

死亡した従業員は、次の日に提出する書類が完成しておらず、参加者を送り届けた後は会社に行き、書類作成を行う予定でした。

会社は労災には当たらず不支給としましたが、遺族はこれを不服として訴えました。

 

東京地裁「歓迎会は『不定期開催・欠席OK・アルコール飲料有』という私的な会合であり、交通事故は使用者の監督下で発生したとはいえない。」

 

最高裁「『経費を使用・社有車での送迎』という公的な会合であり、その途上で発生した交通事故も使用者の監督下で起こった労働災害である。」 

 

最高裁の判決により、会社側の不支給決定は無効

 

企業の対策

過去の裁判では、イベントへの強制参加が認められる場合には労災と判断されることが多くなっています。万が一、ケガや事故に遭った場合の手続きや対応を確認しておきましょう。→仕事中に怪我や病気をしたらどうなる?知っておくべき労働災害の基本 | スポット社労士くん (spot-s.or.jp)

 

参考:弁護士が教えるいちばんわかりやすい労働裁判集(労働行政出版、2018年)

 

まとめ:グレーゾーン問題は日頃の対策が肝心

ここまで、職場のグレーゾーン問題、企業の対策を解説しました。日ごろからのモヤモヤをそのままにせず、対策を打つことが一番の解決方法です。

 

「問題のある従業員がいるけど、解決方法は?」

「訴訟に備えて、就業規則を見直したい」

 

ずっと気になっている職場の問題、社労士と一緒に解決しませんか?以下まで、お気軽にお問い合わせください。

 

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