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労働問題

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2022.04.01

モンスター社員を辞めさせるには?

鳴り物入りで転職してきたものの、接待交際費を浪費するばかりで実績を上げない社員や、部下をメンタル不調に追い込む社員、あるいは明らかにメンタル不調で業務に影響が出ているのに休職しない社員など、会社の規模にかかわらず、経営者を悩ます問題社員はどこにでも潜んでいる可能性があります。 そんな中、ここ2~3年、特に増えているのが“モンスター社員”に関するご相談です。明確な定義があるわけではありませんが、常識を逸脱した言動で周囲を振り回し、会社側が対応に苦慮している社員をそのように呼んでいます。

問題社員の主な類型

・非違行為を行う社員
・会社の指示に従わない社員
・協調性を欠く社員
・無断欠勤を続ける社員
・能力不足の社員
・モンスター社員

 こういった従業員の存在は、会社の秩序を乱し、ほかの従業員のモチベーションを下げ、生産性も低減させるなど不利益を与えるため、決して無視することはできません。

 ただ、従業員の解雇に伴うトラブルは中小企業が直面する法的リスクの典型例でもあります。もし不当解雇だと判断されてしまうと、事業主側は本来支払うべきであった賃金の支払いに加えて、損害賠償の責任を負うことがあります。

 そこで今回は、モンスター社員の対処法について、スポット社労士くん代表の関根光さんに解説してもらいました。

***

 ここ最近、モンスター社員に関する相談が増えてきた背景には、労働者側が労働法に詳しくなっているということが言えます。

 弁護士事務所がガンガン広告を打って過払い金請求を広めたのと同じ流れで、未払い残業代も請求しようとなり、労働法や労働基準法について、労働者が断片的に知るようになったんです。

 そうすると、ランチタイムや飲み会など、社員同士のコミュニケーションの場でそういった話が自然と出てくる。たいがい、どこの職場にも社内の不平不満を吸い上げるのがうまい人がいて、そういう人たちが労働法を振りかざしてモンスター化しているのです。

 それとは別で最近多いのが、メンタルヘルス不調の社員です。モンスター社員とは違いますが、彼らも問題社員の類型のひとつ。ちょっと注意するとすぐに病院へ行って「適応障害」の診断書をもらってくる。社長や上司の叱責があまりに強いからこうなってしまったと。そういうケースがすごく増えています。

事例:就業時間中に何度も上司や同僚を呼び出して、他人の悪口を吹聴する社員

 

 この問題社員を仮にAとします。Aはあらかじめ業務のスケジュールが決まっているにもかかわらず有給を取得したり、業務中に私用の試験勉強をしている、たびたび上司や同僚を呼び出しては会社のことを「泥船」、クライアントのことを「バカ」などと暴言を吐いたり、「会議室に盗聴器が仕掛けられている」「経理担当者の手癖が悪い」といった被害妄想と感じられるような発言も見受けられました。

 さて、今回はモンスター社員に絞ってお話しますが、最近ですとある中小企業の経営者から「就業時間中に何度も上司や同僚を呼び出して、他人の悪口を吹聴する社員がいて対処に困っている」という相談がありました。

 Aの問題行動が目に余るようになり、他の従業員から不満が続出。経営者は本人と関係者に事情聴取を行ったものの、特にアクションを起こさなかったため、Aの言動は増長。他の従業員から「Aを辞めせてほしい」という声が拡大し、私のところに相談がきました。

 こういったモンスター社員がいる場合、業務の邪魔はするは、会社の雰囲気を悪くするはで会社にとってデメリットしかないので、給料を1年分払ってでも辞めてもらったほうが得策です。

 中小企業の場合、お金のある・なしにかかわらず、「こんなやつには一銭も払いたくない」という気持ちが先行しがちですが、辞めてくれるのならお金を払ったほうがよい、という判断できるかどうかが問題の早期解決のカギを握ります。

 ただ、辞めさせるのにもきちんとしたステップを踏む必要があります。

モンスター社員に退職を促す3つのステップ

1 他の社員への事情聴取と証拠集め

「●月●日●時●分『こんなのやってられない』と言って書類を投げた」など、誰が読んでもその光景が思い浮かぶように、できるだけ具体的に書面に残します。また、録音も有効的です。

2 具体的に問題行動を指摘し、書面で注意・指導をしていく

 問題社員に対し、「口頭で何度注意した」とおっしゃる経営者は多いですが、書面に残していなければ意味がありません。

3 改善が見られない場合は弁明の機会を与えた上で退職勧奨

 1の証拠を基に、「●●は解雇事由に当たるがなぜやったのか」等、書面で弁明の機会を与えます。すると、だいたい弁明書の中で反省していない様子がわかるので、そうなったら退職勧奨です。

 この流れの通りに展開していけばスムーズに退職を促すことができますが、ほとんどの中小企業は情報や証拠を書面で残していないため、退職勧奨したところで、モンスター社員に何が悪いのか理解してもらえません。

 今回のケースでは、外部顧問が「こんな社員がいたら会社がダメになる」と進言してくれたおかげで経営者も重い腰を上げたようですが、私たちのところに相談が来るのはたいてい事態が悪化してからで、証拠は何も残っていません。

 証拠さえあれば、あとはスムーズに進められるので、この点はよく覚えておいてください。

 また、今回は他の従業員が一致団結してモンスター社員を辞めさせようとなっていたので進めやすかったですが、同じような不満を持った人たちが派閥を作って経営者に歯向かう、というケースもあります。

 すると、周りに事情聴取をしても「●●さんは悪くないですよ」と言われてしまう。そういう場合は一人ひとりの不満・要望に耳を傾け、切り崩していくしかないですね。

 ちなみに、退職勧奨した際、モンスター社員が弁護士を雇ったり、ユニオンに駆け込まれてしまうと、とても厄介です

 団体交渉に引っ張り出され、何度も話し合いが行われるため、とても時間がかかりますし、相手の予測を上回る金額を提示しないと退職するという話にはならないでしょう。

 不本意ではあっても、ある程度の金額を積んで合意退職に持っていくほうがよいと思います。

モンスター社員は解雇事由の定義付けが難しい

 解雇の事由はいろいろありますが、大きく2つに集約すると、客観的かつ合理的事由があるかどうか(就業規則に定められているかどうか)、社会通念上相当か(世間一般の常識的にありかなしか)です。

 遅刻や欠勤を繰り返す、あるいは非違行為などは事象なので簡単に解雇することができますが、モンスター社員は定義付けが難しい。「会社への適格性がない」「協調性がない」というのをどう証拠で残すのかがポイントになります。

 ちなみに、従業員が退職勧奨を拒否した場合は普通解雇できます。懲戒解雇はある意味、死刑宣告なので、会社のお金を横領したり、社内で暴力事件を起こすなど以外は、ほぼほぼ不可能で、裁判では必ず取り下げられてしまいます。

モンスター社員は誰が育てているのか?

 そして、忘れてならないのが、モンスター社員は経営者が育てている部分もあるということ。従業員の不満分子に対して日の光を当ててしまっている経営者って、すごく多いんです。本当だったら小さいうちにその芽を摘んでいれば済んだのに、放置したから大きくなってしまったわけで。

 モンスター社員にとっては、好き勝手やっても文句は言われず、居心地がいいので、自分から辞めるなんて絶対に言いませんよ。

 経営者と従業員といっても、結局は人と人。社会のルールはもちろん、家庭間のルールや友達間のルールもあるように、会社に所属するならそのルールを守らなければならないわけです。

 世の中でよくある人と人とのトラブルが会社の中でも起こってしまっている、というのが今日の労働問題です。

 そして、問題社員には今回のようなモンスターもいれば、おとなしい人、いわゆる「ぶら下がり」もいます。中途半端に会社を働きやすくすると、このぶら下がりが増殖してしまうので要注意です。

 コロナ禍の在宅勤務がまさにそれですね。今、在宅ですごく仕事をする人としない人が二極化してしまっています。

 成果を出さなきゃいけない人は会社でも在宅でも仕事をしますが、成果を出さなくても決められた時間働いていればよい人もいて、そういう人は納期がない分、ダラダラとやっている。

 でもこれって、実は会社側が悪いんです。やるべきことを明確にして、毎朝その日の業務を指示し、終わったら日報を書かせる。それくらい徹底しないとダメなんですよ。

 最近ではログで日報を作成・管理できるサービスもあるので、そういったものを利用するのも手でしょう。そうすると、従業員が今何をしているのか、秒単位で分かります。

 管理者側がいちいちチェックしに行かなければならないのが少し面倒ですが、気になる社員がいたらピンポイントで見に行くというのも手でしょう。

まとめ

・モンスター社員がいたら、とにかく書面で証拠を残しておく。

・モンスター社員は周囲に悪影響を与えるので、1年分の賃金を払ってでも即刻辞めてもらったほうが会社の利益になる。

・モンスター社員は経営者が育てている。

●プロフィール
関根光
スポット社労士くん社会保険労務士法人代表。顧問料0円で必要な時だけピンポイントで利用できる人事労務サービスを提供。新規適用、入退社の手続き、給与計算、就業規則など労務管理の整備から、助成金、人事評価、従業員の定着・採用など人事制度の構築まで、創業期からIPOまでの会社をフルサポートしている。

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