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基礎知識

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2020.06.05

再雇用?定年延長? 今の職場で何歳まで働ける?

 

 

人は何歳まで働くことができるのでしょうか。
もちろん、元気なうちは何歳でも働くことができますが、多くの人が気になるのは「会社の定年年齢は、法律では何歳までとされているのか」ではないでしょうか。

 

 

高年齢者雇用安定法によって、企業は、働くことを希望する労働者を65歳まで雇用し続けなければならないことになっています。ただ、定年年齢を60歳から65歳に引き上げるのではなく、「65歳まで雇用を延長する」企業もあります。65歳までの働き方は、企業それぞれ、人それぞれといえます。

 

高年齢者雇用安定法における「定年」の定め

日本の企業の定年年齢は長らく60歳でしたが、2013年に高年齢者雇用安定法(正式名称「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」)が改正施行され、65歳に引き上げられました。


これを世間では「定年延長」と呼んでいますが、実際は「雇用延長」の場合もあります。
定年延長は、正社員のまま65歳まで働けることですが、雇用延長は嘱託やパートなどになって65歳まで働くことです。


まずは法律の内容を確認していきましょう。

第9条第1項の内容

高年齢者雇用安定法で、定年や雇用年齢のルールを定めているのは第9条第1項です。
定年制度や雇用延長の根拠になる重要な条文なので、全文を引用しておきます。

高年齢者雇用安定法第9条第1項
定年(65歳未満のものに限る)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置のいずれかを講じなければならない。
1、当該定年の引上げ
2、継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう)の導入
3、当該定年の定めの廃止

法律の条文は少し読みにくいと思いますので、要約してみます(*1)。

1:定年年齢を65歳未満にしている企業は、定年年齢を65歳にしなければならない

2:(65歳定年の導入が難しければ)継続雇用制度を導入して65歳まで雇用し続けなければならない

3:(1も2も難しければ)そもそも定年制度を廃止しなければならない

事業主は、この1、2、3のいずれかを選択しなければなりません。
1と3は理解しやすいと思います。

1は、例えばA社が「当社の定年は60歳」と定めていたら、それを「65歳」に変更することです。
3は、定年制度を廃止して、労働者に働く意欲があって働ける限り、何歳まででも雇用し続ける内容です。

ただ、すべての企業が1や3を採用できるわけではありません。そこで2の「継続雇用制度」が重要になってきます。

継続雇用制度とは

2:(65歳定年の導入が難しければ)継続雇用制度を導入して65歳まで雇用し続けなければならない

平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果 – 厚生労働省

2は、65歳定年を導入できない場合の対処法が書かれている、と理解してよいでしょう。

「継続雇用制度」を導入して65歳まで雇用すれば、65歳定年を導入しなくても、この法律をクリアすることができます。

継続雇用制度とは、いうなれば60~65歳まで「どのような形であっても」雇用を継続する仕組みのことです。

例えば、60歳まで正社員で雇用して、61歳から1年契約の嘱託社員として採用し、65歳まで雇用し続けることも可能です。嘱託社員ではなく、パートタイムとしても構いません。また、給料についても、正社員時代より額を下げることができます。

ただし、継続雇用制度は次のような内容である必要があります。

・仮に1年契約を導入したとしても、65歳までは契約が更新されるようにしておかなければならない。ただし、能力不足など、年齢以外の理由で契約を更新しないことは認められている(違法にならない)。

・給料の額を下げたり、労働時間を短くしたりするなど、労働条件を変更する場合は、事業主と労働者の間で決めなければならない。

労働者が給料の大幅減に納得しなかったらどうなるのか

では、企業が継続雇用制度を導入して、65歳まで雇用する代わりに給料の額を大幅に下げることにしたとしましょう。それに対して、労働者が納得しなかったらどうなるのでしょうか。

労働条件の変更が「合理的な内容になっていれば」、協議の結果、労働者がその内容を拒否したとしても、すぐにその継続雇用制度が高年齢者雇用安定法に違反するわけではありません。

継続雇用制度は、労働者の希望どおりの労働条件にしなければならない、というわけではないからです。

ただし、変更後の労働条件が過酷すぎたり、労働者に著しく不利な内容になっていたりすれば、「合理的な内容」とはいえないので、そのような継続雇用制度は、高年齢者雇用安定法に違反すると認定されるでしょう。

継続雇用制度は、従業員全員を対象にしなければなりません。65歳まで働くことを希望するすべての従業員が、65歳まで働けるようにしなければならないのです。

定年は段階的に引き上げればよい

定年延長と高年齢者雇用安定法の関係は以上のとおりですが、2020年現在、65歳定年制度や継続雇用制度を導入せず、なおかつ、定年制度の撤廃を実施していない企業は存在します。

厚生労働省の「2018年 高年齢者の雇用状況」調査によると、何らかの形で、65歳まで雇用するルール(65歳までの雇用確保措置)を定めている企業は99.8%でした。つまり2018年段階では、0.2%の企業はいまだに、65歳定年制度や継続雇用制度を導入せず、なおかつ、定年制度の撤廃をしていません。

また、65歳までの雇用確保措置(65歳定年制度、継続雇用制度、定年制度の撤廃)は、段階的に導入すればよいことになっています。

継続雇用制度の対象者は、次のようなスケジュールで拡大することが許されています。

2016年3月31日まで:61歳以上でよい(つまり61歳定年でもよい)

2019年3月31日まで:62歳以上でよい(つまり62歳定年でもよい)

2022年3月31日まで:63歳以上でよい(つまり63歳定年でもよい)

2025年3月31日まで:64歳以上でよい(つまり64歳定年でもよい)

つまり2025年4月1日以降は、すべての企業が「65歳までの雇用確保措置」を導入しなければなりません。

定年年齢を引き上げないとどうなるか

企業が意図的に「65歳までの雇用確保措置」を導入せず、高年齢者雇用安定法に違反したらどのようになるのでしょうか。つまり、60歳定年制度を維持し続けたら、どのような処分を受けるのでしょうか。

厚生労働省は、まず、次のような見解を示しています。

高年齢者雇用安定法は、事業主に高年齢者雇用確保措置を講じることを義務づけているものであり、個別の労働者の65歳までの雇用義務を課すものではない

高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)|厚生労働省

この見解を読むと「企業は結局、65歳まで雇用し続ける必要はないのではないか」と感じるかもしれませんが、そうではありません。

企業は従業員を65歳まで雇用しつづける仕組みを作る義務があります。仮に「60歳以降は1年契約とする」というルールを定めても、65歳までは契約が更新できるようにしなければなりません。

「ただし」能力不足など、年齢以外の理由で、契約を更新しないことは認められています(違法になりません)。

それで厚生労働省は「個別の労働者の65歳までの雇用義務を課すものではない」、つまり高年齢労働者一人ひとりの事情まで考慮して、全員を雇用しろというわけではないと言っているわけです。

厚生労働省はさらに、次のようにも述べています。

適切な継続雇用制度の導入などを行っていない場合、高年齢者雇用安定法違反となる。その場合、公共職業安定所が企業の実態を調査し、必要に応じて、助言、指導、勧告、企業名の公表を行う

高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)|厚生労働省

企業にとっては、公共職業安定所(ハローワーク)に調査されるだけでも、信用力が落ちるなどのダメージを受けることになります。

そして調査の結果、ハローワークから「高年齢者雇用安定法違反となるので、改善しなければならない」と助言されれば、ダメージはさらに深くなります。

そして最終的には、高年齢者雇用安定法に違反している会社として、企業名が公表されてしまいます。厚生労働省が企業名を公表すれば、マスコミが報じたり、ホームページに記載したりするかもしれません。

企業の信用は、著しく失墜することになります。

「定年は延長されたが給料が激減」は合法か

働く人にとって、65歳まで会社に勤務し続けることができるのは「良いこと」と言えるでしょう。しかし、60歳を超えた段階で給料が激減したら、それは労働者にとって「良いこと」とは言えません。

悪意のある企業が、60歳超の労働者が自主的に退職するように、継続雇用制度の内容を厳しくすることは、十分考えられます。そのような行為は、高年齢者雇用安定法の趣旨に反します。

そこで厚生労働省は、「高年齢雇用確保措置の労働条件」について、次のような内容にするよう指導しています(*1)。

・高年齢雇用確保措置(継続雇用制度など)を導入するとき、賃金や勤務時間などの労働条件を見直してもよい
・年齢的要素を重視する賃金制度や人事制度を採用している企業は、能力や職務を重視する制度に見直し、そのとき、高年齢者の雇用の安定に配慮する
・短時間勤務や隔日勤務など、高年齢者の希望に応じた働き方が可能になる制度にする
・高年齢者の意欲や能力に応じた職場配置と労働条件の実現に努める
・継続雇用制度での賃金は、対象となる高年齢者の働き方(就業実態)や生活の安定などを考慮するように努める

いずれも努力義務になっていますが、だからといって企業が上記の内容に著しく反する高年齢雇用確保措置を導入すれば、企業名の公表などのペナルティを受けることになります。

したがって企業は、60歳超の高年齢労働者に、適切な賃金で適切に働いてもらう必要があります。

「人生100年時代」を迎えたら定年はどうなるのか

定年制度は今後、どのように変わっていくのでしょうか。人生100年時代が到来したら、65歳で定年退職してしまったら、その後、35年間も無職で過ごすことになります。それでは生活が安定しません。

政府の「人生100年時代構想会議」は2018年6月、中間報告をまとめ、そのなかに「高齢者雇用の促進」が盛り込まれました(*2)。

明確に「65歳以上の継続雇用年齢の引上げに向けた環境整備」を打ち出しています。つまり今後、定年年齢や雇用延長が65歳を上回る可能性があります。政府は「本気」のようです。意欲ある高齢者に働く場所を準備することは、官民挙げて取り組むべき「国家的課題である」とまで述べています。

まとめ~元気であればいつまでも働ける社会に

日本ではすでに、65歳まで働くことが常識になりつつあります。働くことは自己実現そのものなので、多くの働く人が、65歳定年や65歳までの雇用延長を歓迎しているのではないでしょうか。

また、年金の支給開始年齢が引き上げられ、そのうえ年金額が十分でない以上、「60歳で引退なんてしていられない」という事情もあるでしょう。

そのため政府は、元気なうちはいつまでも働くことができる社会をつくろうとしています。企業もそれに応じて、定年延長などを導入しているのです。

*1:「高年齢者雇用安定法」のポイント

*2:人づくり革命 基本構想

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