給与計算
2020.09.30
電子マネーの給与受け取り解禁か?規制緩和の進捗について解説
Kyashやnanacoなど電子マネーと言われる形での給与振込の規制緩和が進んでいる。以前から検討が続いていたが、2021年と明示されたのはここ最近になってからだ。
電子マネーで給与受け取り規制緩和の流れ
日本経済新聞によると、ベビーシッターの仲介サイトのスマートシッターは2月に「報酬当日払い」と呼ぶ仕組みを導入。通常の場合は、翌月に銀行口座に振り込まれる場合が多いが、この報酬当日払いでは、その月に働いた分の報酬が電子マネー「nanaco」や「Kyash」などで支払われる。この制度は、急な出費が発生するシッターが早く受け取りたいというニーズと、ATMに行く手間を考えると便利なんだそう。
他にも建築業向け求人アプリの助太刀もデジタルマネーによる支払いを行っている。助太刀は自社が提供する助太刀Payを利用して、代金を受け取ることができる。この代金は専用プリペイドカードにチャージをすれば実際にオフライン上の店舗でも使うことが可能。
上記のベビーシッターや職人は、個人事業主(フリーランス)として請負契約等に基づく報酬を受け取っている。民法上、報酬の支払いに関する規制はないため、ニーズに応じた支払い形態の多様化は今後もいっそう進むことが予測される。
一方で、従業員への給与は労働基準法の規制を受けるため、やや複雑だ。電子マネーの支払いが認められるまでには規制緩和が必要となる。給与の支払い方法は、労働基準法24条で、現金の直接払い、あるいは、従業員本人の同意があれば銀行口座への振込が認められている。それが、コロナの影響もありキャッシュレス化を進めるなか、電子マネーによる給与支払いも緩和されはじめているようだ。
その背景には、報酬を好きなタイミングで受け取りたいと考えるフリーランスやギグワーカーの増加にある。
議論の進捗状況
2020年1月、政府は2019年12月、現金または銀行・証券口座に限られてきた給与支払いについて、デジタルマネーでの支払いを認めることを決定。2020年度のペイロールカードの解禁を目指すと発表。
ペイロールカードとは、給与の振込先として使えるプリペイドカードのことを指す。アメリカなどの他国では、ペイロールカードはある程度一般的で、これが実現すれば口座開設が難しい日本にいる外国人労働者の問題も改善ができる。
一方、現在日本では、労働基準法によって、原則現金払い、一定の条件を満たしていれば銀行振込が認められている。
実現化について、FinTech JournalでのFintech協会の落合弁護士の取材では、もう少し時間がかかりそうとの話だ。
「規制改革推進会議ではペイロールカード導入のための条件がある程度で出そろってきましたが、新型コロナウイルスの影響で厚生労働省の労働政策審議会での議論をまだ始められずにいます。そのため、実現までにはもう少し時間がかかりそうな状況です」
経済財政諮問会議の資料(2020年7月17日)では、2020年の早期の制度化を図るとして、議論を進めているようだ。
厚労省は審議会でまとまれば労基法の省令を改正し、銀行以外にも振込先の門戸を広げ、キャッシュレス決済などを手がける資金移動業者も対象にする。
そもそも現状は?(賃金5原則、直接払いの原則)
そもそも、電子マネーによる給与支払いは、フリーランスの個人事業主であれば実質可能だ。しかし、会社員の場合は、冒頭でも記載した通り、労働基準法により難しいのが現状。緩和に向けてペイメント業者の審議をする予定で、電子マネーによる報酬支払いは加速が進んでいる。
とは言っても、会社員の間でもLINE Payなどの〇〇ペイアプリでの給与支払いはできないものの、経費の立替や交通費精算は利用が認められている。
SelfHackの記事では、賃金の支払いではなく、業務委託料の支払いのため利用が可能のようだ。
参考記事:https://www.selfhack.jp/digitalmoney_payroll/
セキュリティの問題
セキュリティ面ではどうなのだろうか?個人情報の漏洩やカードの不正利用など電子マネーに対するセキュリティ問題に不安があるのが現状だ。事業主の経営破綻などが起きた場合やハッキングなどリスクがゼロだとは言い難い。
ただ、電子マネーでの給与支払いによって生活は便利になることは間違いない。生産性の向上により新しいビジネスが生まれる可能性も高いだろう。今後の動きに注目だ。
参考
厚生労働省資料
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/meeting.html#honkaigi
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