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就業規則

就業規則

2020.08.26

【社労士監修】就業規則の基礎知識

就業規則は事業所全体のルールブック。一方で、個々の労働者一人一人に適用されるのが、「労働契約」です。

会社と労働者との間には複数の法的な規範が存在しますが、それらの優先順位は、
法令」>「労働協約」>「就業規則」>「労働契約」です。

つまり、労働契約のうち、「就業規則」で定める基準に達しない労働条件を定める部分は”無効”となります。無効になった労働条件については、就業規則の規定に従うことになります。

就業規則は、職場全体に法的な効力を及ぼすものであり、働き方に対する会社の代表者の考え方を伝え、浸透させるための有用なツールです。

必ず記載しなければならない事項はありますが、書き方などに決まりはありません。堅苦しい言葉を使わずに、話し言葉でわかりやすく、というような就業規則も最近は見られるようです。

単に作成義務があるから、ということでテンプレートのルールブックを作るのは、とてももったいないことのように思います。作成する際は、どのような職場にしたいのか、という想いがしっかりと反映されるよう、十分に検討するのがよいでしょう。

必ず記載しなければならない事項とは?

絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項

就業規則に記載する内容には、どのような場合であっても必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、その事業所で定める場合には記載しなければならない「相対的必要記載事項」があります。

絶対的必要記載事項は次の3つです。

① 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、(交替制の場合は)就業時転換に関すること
② 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切り、支払いの時期、昇給に関すること
③ 退職に関すること(解雇の事由を含む。)

相対的必要記載事項は次の8つです。

① 退職手当に関すること
② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関すること
③ 食費、作業用品などの負担に関すること
④ 安全衛生に関すること
⑤ 職業訓練に関すること
⑥ 災害補償、業務外の傷病扶助に関すること
⑦ 表彰、制裁に関すること
⑧ その他全労働者に適用されること

就業規則の作成・届出について

常時10名以上の労働者を雇用する場合

就業規則の「作成」義務と、労働基準監督署への「届出」義務があります。

職場で働く労働者が10名以上になったら、ルールブックの作成は必ず行っておきましょう、という趣旨です。

ここでいう「労働者」には、正社員のみならず、パートタイム労働者など、事業場で働くすべての労働者が含まれます。

「常時10名以上」とは、10名以上の労働者が働いていることが常態であることを言い、一時的に10名未満となることがあったとしても、これに該当します。一方で、繁忙期にのみ、一時的に10名を超えるような場合は、「常時」とは言いません。

ここで、職場、というのは、場所的な単位をもって判断します。
例えば、本社に10名、支店に10名働いている場合、本社の就業規則、支店の就業規則をそれぞれ作成し、届け出なければなりません。
なお、共通する規則を定めている場合には、一括で届け出ることも可能です。

就業規則を作成するにあたっては、労働者の過半数を代表する者(労働組合がある場合には、労働組合)の意見を聞く必要があります。そして、聞いた意見を、「意見書」として就業規則とあわせて提出します。

この意見は、「賛成」である必要はありません。「反対」でもいいし、「意見はない」ということも時にはあります。

なお、就業規則の内容を変更した際にも、作成した際と同じく、届出が必要です。

常時10名未満の労働者を雇用する場合

 さて、常時10名未満の労働者を使用する事業場においては、法律上、作成・届出の義務はありません。しかし、作成したものは、当然に、正式な就業規則として認められます。
このような場合であっても、円滑な職場環境を維持するために、作成しておくことが望ましいと思います。

例えば、懲戒処分を行うにあたっては、処分の根拠(理由)をあらかじめ就業規則に定めておかなければなりません。そもそも就業規則が存在しなければ、懲戒処分自体を行うことができないのです。

また、変形労働時間制を採用するためには、就業規則、または常時10名未満の場合には就業規則に準ずるものの作成が必要とされています。

作ってはいけないという決まりはないですし、むしろ積極的に作成しておく方がよいと思います。

労働基準監督署に就業規則を提出する際の必要書類は、

👉就業規則(本体)

👉就業規則届(カバーレター)

👉意見書(従業員代表の意見を聞いたことを証するもの)

の3点セットです。

就業規則の「周知」とは?

「作成」と「届出」を行っただけでは、就業規則の効力は発生しません。

もう一つ、「周知」というステップが必要とされています。

就業規則が、事業所で使用される労働者全体に対して、法的な規範としての効力を持つためには、就業規則をその事業所で働く労働者に対して「周知」させる、つまり、就業規則の存在とその内容を働いている皆さんに知ってもらうことが必要です。

就業規則の周知の方法ですが、具体的には、次のような方法があります。

・各作業場の見やすい場所に掲示する、もしくは備え付ける
・書面で労働者に交付する
・電子データとして記録し、労働者がその記録を常時確認できるようにパソコン等の機器を各作業場に設置する

例えば、就業規則が鍵付きの棚に保管されており、閲覧するのには上司の許可がいる…というような場合は、周知されているとは言えません。

なお、この「周知」は、就業規則が効力を発揮するために、とても重要です。💡

・届け出ていないが、従業員全員が知っている(周知されている)就業規則
・届け出ているが、従業員が誰もその内容を知らない(周知されていない)就業規則

の2つがある場合、どちらが有効だと思いますか?

実は、有効なのは前者(届け出ていないが、皆が知っている就業規則)の方であるとされています。
判例によれば、就業規則の届出をしていなくても、周知された就業規則は効力を有するとされており(コクヨ事件)、逆に、届出がなされているとしても、従業員に周知させる手続きが取られていない就業規則は、法的規範としての拘束力を有しない、とされているのです(フジ興産事件)。

就業規則の構成

就業規則はどのような要素から成っているのか、全体像を把握しましょう。

就業規則は、例えば、次のような構成で成り立っています。

  • 第1章 総則
  • 第2章 採用、異動等
  • 第3章 服務規律
  • 第4章 労働時間、休憩、休日 
  • 第5章 休暇等
  • 第6章 賃金
  • 第7章 定年、退職及び解雇 
  • 第8章 退職金
  • 第9章 安全衛生及び災害補償
  • 第10章 職業訓練
  • 第11章 表彰及び制裁
  • 第12章 無期労働契約への転換
  • 第13章 公益通報者保護
  • 第14章 副業・兼業 

上で触れた「必要記載事項」はもちろんですが、第1章の総則と第3章の服務規律はとりわけ重要です。

第1章の総則では、この就業規則が適用される「労働者の範囲」を定めます。正社員、パートタイマー、嘱託社員、など、さまざまな区分で働く方がいる場合には、区分を丁寧に整理し、それぞれに適したルールが適用されるよう、慎重に規定することが必要です。

第3章の服務規律では、懲戒事由などを定めます。ここが、どのような職場にしたいかという風土づくりを最も表せる項目です。具体的にイメージして、ルールとして明記しておきたいことは盛り込んでおきましょう。

育児休業・介護休業規程について

育児・介護休業制度について、就業規則に記載する必要があります。

育児・介護休業法により、次の事項については、就業規則に記載しなければならないとされています。

育児休業・介護休業、子の看護休暇・介護休暇の「付与要件(対象となる労働者の範囲)」「取得に必要な手続き」「期間
育児休業・介護休業期間、子の看護休暇・介護休暇中の「賃金の支払いの有無

これらは絶対的必要記載事項のうち、【① 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、(交替制の場合は)就業時転換に関すること】にあたります。

また、育児介護休業法に定める条件を下回る定めをした就業規則は、その部分については、無効となります。

育児・介護休業法で定められている規定は多岐にわたるため、就業規則本体とは別に、「育児休業規程」などとして定めることが可能です。その場合であっても、就業規則の一部として、「届出」が必要です。

記載例として、こちらをご参照ください。

就業規則に関する参考URL

厚生労働省:モデル就業規則について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

厚生労働省:スタートアップ労働条件

https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/

厚生労働省:就業規則作成支援ツール

https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support_regulation.html

テンプレートはこちらから

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