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2021.03.12

労働者代表の選出の意義

 

 

4月からの36協定の準備をしているのですが、労働者代表の選出方法がイマイチわからなくて・・・私が指名してもいいのでしょうか?

 

 

労働者の過半数で組織する労働組合があれば組合が代表となれますが、ない場合は労働者の過半数を代表する者が労働者代表となります。
労働者代表の選考にはルールがあり、経営者や会社側が指名することはできないのですよ。
36協定以外にも労働者代表を決めなければならない場面がいくつかあります。労働者代表の選出方法とあわせてご説明しましょう。

 

代表が必要となる場面

労働者代表が必要となる代表的な場面をご説明しましょう。

(1) 就業規則の制定や改定

常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければなりません。また、届出には労働者代表の意見書を添付しなければなりません。

制定、改定のどちらにも意見書は必要です。ただし、意見書の内容は就業規則の内容について反対する意見でもかまいません。

仮に、就業規則の変更に反対の意見書を添付したとしても、労働基準監督署は変更届を受け取ってくれます。労働者代表に意見をきいていることが重要なのです。

意見書

出典:厚生労働省|就業規則(変更)届 労働基準監督署への届出書類 意見書

(2) 36協定

36協定とは「時間外・休日労働に関する協定」のことで、従業員に法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働および休日勤務をさせるときに結ぶ協定です。協定を結んだ場合は、事業年度開始前に労働基準監督署に届出するルールです。

36協定

引用:厚生労働省|労働基準法関係主要様式「時間外労働・休日労働に関する協定届」

36協定は労働基準法に係る省令改正により令和3年4月1日以降は様式が変更され、労働者代表の押印が廃止されますので覚えておきましょう。

詳しくはこちらの「36協定の労働者代表の押印が不要に!労働者代表の選出の流れ 」で解説しています。

(3) フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自身で決める制度です。働き方改革でも「フレックスタイム制の見直し」があげられ、労働者が生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことが掲げられています。

労使協定では、次の①~⑥の項目を定めて協定を結びます。

①対象となる労働者の範囲

②清算期間

③清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)

④標準となる1日の労働時間

⑤コアタイム(※任意)

⑥フレキシブルタイム(※任意)

引用:神奈川労働局|労働基準法関係【参考書式(様式/記載例)】

(4) 時間単位年休

年次有給休暇は原則1日単位ですが、就業規則に記載して労使協定を締結すれば年5日の範囲内で時間単位での取得が可能です。

労使協定では、次の①~④の項目を定めて協定を結びます。

①時間単位年休の対象労働者の範囲

②時間単位年休の日数

③時間単位年休1日の時間数

④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数

年次有給休暇の時間単位での付与に関する労使協定

引用:厚生労働省|年次有給休暇の時間単位での付与に関する労使協定

(5) 有給休暇の計画付与

有給休暇の計画付与は、年次有給休暇の付与日数の内5日を除いた残りの日数について、就業規則に定めて労使協定を締結して、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。

労使協定では、次の①~⑤の項目を定めて協定を結びます。

①計画的付与の対象者

②対象となる年次有給休暇の日数

③計画的付与の具体的な方法

④年次有給休暇の付与日数が少ない者の扱い

⑤計画的付与日の変更

年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定

引用:厚生労働省|年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(例)

(6) キャリアアップ計画書

キャリアアップ計画書は、非正規労働者を正規雇用した場合に受けられる「キャリアアップ助成金」の申請に必要な計画書です。正社員化コースや人材育成コースなど助成金もいくつかのコースにわかれています。非正規労働者の訓練開始の1カ月前までに労働局に計画書を提出しなければなりません。

キャリアアップ計画書

引用:厚生労働省|キャリアアップ計画書

上記以外にも、次のようなものに労働代表が必要となります。

賃金控除協定、1カ月単位や1年単位の変形労働時間制、一斉休憩の原則の適用除外協定、事業場外労働のみなし労働時間の協定、派遣労働者と派遣元との同一労働同一賃金の協定書など

 

労働者代表が必要な場面は多岐にわたりますね。また、正しく労働者を選出していないと書類自体が無効になりますので注意しましょう。
労働者の役割と正しい選出方法を確認していきましょう。

 

労働者代表の役割

労働者代表は労使協定の締結や、会社側と労働環境の見直しなどの交渉をすることができます。主な役割は次の3つになります。

・労働関係法の規制や協定などの合意や解除をする

・労使の協議を通じて労働条件の設定などに関与する

・多様な政策目的を実現するため労働現場での労使の話し合いを促す

これらの役割から、労働者代表になるための要件が次のように定められています。

・労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと

・過半数代表を選出するための正しい手続きにもとづいて選ばれた代表であること

労使協定などは上記の2点をみたした労働者代表と締結しましょう。また、労働者代表は協定の内容ごとに代表を選定する必要があります。そのため、就業規則の意見書と36協定の労働者代表がことなるというケースも発生しますが、正しい選考の手順を踏んでいれば問題はありません。

選出方法

労働者代表を選ぶ正しい方法とはどのような方法があるのでしょう。管理監督者以外の者がなる前提で、有効となる選出方法をご紹介します。

【有効な選出方法】

(1) 投票による方法

社内選挙による選出方法です。通達や業務連絡で代表となる事案を説明して立候補者を募ります。立候補者が複数であれば候補者の簡単な経歴を公開して社内で投票による選挙を行います。

立候補者が1人の場合は、その旨を説明し信任投票を行います。投票結果を社内に告知し労働者代表に選ばれた者を周知して労使協定などを結びます。

立候補者を募ることから選出結果の周知までの過程が明確な方法で、代表者の選考方法として有効です。

(2) 話し合いによる方法

話し合いによる場合は、全社員が参加するミーティングなどで労働者代表となる事案を説明し、代表者として適した社員を推薦するなどし、話し合いにより決めます。最後に「労働者代表として○〇部の○○○○さんを労働者代表とします。反対意見はありますか」などとして参加している社員が異を唱えられる環境を提供して、話し合いにより選出したことを議事録などに残すようにしましょう。

(3) 挙手による方法

挙手による方法は事前に労働者代表となる事案の説明をして候補者を募り、候補者の経歴を公表して、社員全員が参加する社内会議などの場で挙手により選出します。管理職だけで行われる会議や管理部門だけの会議など一部の労働者だけが参加する場での選出は無効です。挙手により選出した過程を書面で残すようにしましょう。

(4) 信任による方法

候補者を選定して信任による方法で労働者代表を選出することも可能です。この場合は労働者代表として締結する労使協定などの内容を明確にして候補者の経歴とあわせて社内に周知して署名などにより信任を得ます。信任を得た過程と署名した書類などを残しましょう。

(5)ネットを使った選考

ネットによる選挙や信任も有効です。例えば、全社員が業務用のメールアドレスを持っているような場合は、アンケート機能などを使い、労使協定の事案と立候補者を告知してネット投票や信任をすることも可能です。選出過程とネットの投票結果や信任した者が明確にわかるようにしておきましょう。

【無効となる選出方法】

労働者代表が無効であった場合はその者と締結した労使協定が無効となります。法的に結ばなければならない36協定などが無効であれば法令違反となりますので注意しましょう。

(1) 会社側の指名

会社側が指名して特定の社員を労働者代表とした場合は、その選出方法は無効です。その代表者と締結した労使協定も無効となります。ただし、会社側が特定の社員を指名し、その社員が信任投票などで信任を得たのであれば有効な選出となります。会社側が一方的に指名したのではないからです。

(2) 親睦会などの幹事が自動的になる

親睦会の幹事などは社員によって選ばれた者ではありませんので労働者代表としては無効です。もし、親睦会の幹事が投票により選ばれていたとしても、○〇の労使協定を締結するための代表の選出だと投票者に明確にしていないので無効となります。

(3) 管理部門の社員が自動的になる

総務部などの新人を自動的に労働者代表とするなど暗黙のルールがある企業もあるかもしれませんが、労働者代表は管理部門の者である必要はなく、また、選考により選ばれていませんので無効です。

「総務部の○○○○さんを36協定の労働者代表とします。同意の方は署名してください」などとして信任を得ていれば問題ありません。

一番おすすめの選出方法は?

選出方法の有効・無効でご説明したように、選考方法のポイントは「労働者の意思により選出されているか」です。また、その選出方法の過程を「客観的な記録に残すこと」です。

お勧めとしては投票制度による方法が間違いありません。立候補の募集から投票結果までが明確だからです。投票が難しく信任を得て労働者代表を選出した場合でも、その過程と信任状況を証明できるようにしておきましょう。

 

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