助成金・補助金
2021.04.25
一般事業主行動計画とは? くるみん認定・両立支援助成金についても徹底解説
一般事業主行動計画・次世代育成支援対策推進法の概要
一般事業主行動計画は、次世代育成支援対策推進法の定めにより策定が義務づけられているものです。2021年4月1日現在、義務の対象は従業員301人以上の企業です。従業員300人以下の企業は努力義務とされています。
次世代育成支援対策推進法は、急速な少子化の進行などを踏まえて、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ育成される環境の整備をはかる目的で2003年7月16日に施行されました。制定当初は10年間の時限立法でしたが、2014年に改正されて、10年間延長されています。
次世代育成支援対策推進法では、国・地方公共団体・事業主・国民が担う責務が明らかにされ、10年間かけて集中的かつ計画的に、次世代育成支援対策に取り組んでいくとされました。
集中的かつ計画的に事業主が実施する次世代支援を具体化したものが「一般事業主行動計画」です。事業主が自社で実施する次世代支援対策の、計画期間・目標・目標を達成するための対策の内容と実施時期を計画書に定めるのです。
一般事業主行動計画を策定したら、従業員に周知して、社外に公表し、労働局に届出することになっています。
義務化の対象拡大
一般事業主行動計画の策定および情報公表が義務とされる企業が2022年4月1日から拡大されます。対象企業は現在の従業員301人以上から、従業員101人以上の企業となります。また、従業員100人以下の企業は努力義務とされます。
現在、従業員101人以上から300人以下の企業は、一般事業主行動計画の策定のための準備期間とされています。
行動計画策定の流れ
一般事業主が策定する行動計画は自社のニーズに合った実施可能なものでなければなりません。策定の流れを確認しておきましょう。
1.自社の現状や労働者のニーズを把握する
仕事と子育ての両立を図るために策定する計画ですので、両立の障害となっている項目や従業員の求めている支援はなにかを探り、従業員のニーズを把握しましょう。
2.実情を踏まえて設定する
実情が把握できたら各課題に対する取組の優先順位をつけましょう。実情を踏まえた計画期間を設定して、可能な限り定量的な数値目標を定めましょう。

出典:厚生労働省|一般事業主行動計画の策定とプラチナくるみん認定について
3.行動計画を公表して、従業員へ周知する
行動計画の策定日から3か月以内を目途に計画を社内通達やポスター掲示などで従業員へ周知しましょう。また、自社のホームページもしくは両立支援総合サイトで一般公表することも忘れずに行いましょう。
(両立支援総合サイト:https://ryouritsu.mhlw.go.jp/)

出典:厚生労働省|リーフレット「両立支援のひろば~次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表しましょう!」(令和2年11月)
4.都道府県労働局へ届出する
都道府県労働局へ「一般事業主行動計画策定・変更届」を提出しましょう。郵送、持参、電子申請が可能です。
計画の内容
一般事業主行動計画に定めるべき項目と計画例を確認していきましょう。以下の3点は必須項目です。また、目標の数は2つ以上であれば上限はありません。
1.計画期間
2.目標
3.対策と実施時期
1~3をふまえた計画書の例をご紹介します。ワークライフバランスを考慮した両立支援の内容になっています。
【計画例1】
育児をしている社員が多く色々なニーズのある会社では、仕事と生活の調和を図り、働きやすい雇用環境の整備する目標をたてています。

出典:厚生労働省サイト:一般事業主行動計画の策定・届出等について
【計画例2】
社員が仕事と子育てを両立させることを目標に、両立支援対策の充実を目指す会社の場合は、育児休業の取得率アップなどを数値目標としています。

出典:厚生労働省サイト:一般事業主行動計画の策定・届出等について
【計画例3】
高齢者が多く育児をしている社員がほとんどいない会社でも、仕事と生活の調和を図り働きやすい雇用環境の整備を目標にすることは可能です。

出典:厚生労働省サイト:一般事業主行動計画の策定・届出等について
モデル例のように自社のニーズにあった目標を策定するようにするとよいでしょう。
2022年4月1日からの法改正をうけ、現在新たに策定する一般事業主行動計画には、原則として次の①②の区分ごとに1つ以上の項目を選択して数値目標を定めることになっています。具体例とあわせて確認しておきましょう。
① 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
・採用した労働者に占める女性労働者の割合
・男女別の採用における競争倍率
・労働者に占める女性労働者の割合
・男女別の配置の状況
・男女別の将来の育成を目的とした教育訓練の受講の状況
・管理職に占める女性労働者の割合 など
② 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
・男女の平均継続勤務年数の差異
・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・男女別の育児休業取得率及び平均取得期間
・男女別の職業生活と家庭生活との両立を支援するための制度(育児休業を除く)の利用実績
・男女別のフレックスタイム制、在宅勤務、テレワーク等の柔軟な働き方に資する制度の利用実績 など
これらをふまえた数値目標の例を都道府県労働局が示しています。参考にするとよいでしょう。

出典:都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)|改正女性活躍推進法が施行されます!
この改正に関連して、2020年4月1日以降にスタートする301人以上の事業主が定める一般事業主行動計画は、数値目標を2つ以上定めることとされています。
くるみん認定について
一般事業主行動計画を策定し実施した結果、目標を達成するなどの要件を満たした企業は「子育てサポート企業」として厚生労働大臣から認定を受けられます。この認定を通称「くるみん認定」とよびます。
また、くるみん認定企業のなかで、より高い水準の目標を達成した企業は特例認定として「プラチナくるみん認定」を受けることができます。

くるみん認定を取得するメリットは、両立支援に取り組む企業として公にPRできることです。認定マークを会社案内や名刺に印字することができ、企業のイメージアップにつながります。また、採用においても求職者から働きやすい企業として評価されます。
両立支援助成金を申請するには一般事業主行動計画を立てておくことが前提
両立支援助成金は、職業生活と家庭生活が両立できる職場環境づくりのために厚生労働省が実施している助成金です。職業生活と家庭生活の両立支援を目的としており、次の取り組みなどが対象です。
・男性の育児休業取得を促進する「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」
・男性の育児休業取得を促進する「介護離職防止支援コース」
・仕事と育児の両立支援する「育児休業等支援コース」
他にも、女性活躍加速化コース、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース、不妊治療両立支援コースがあります。
両立支援助成金には支給要件があり、育児休業等支援コースでは要件のひとつが一般事業主行動計画書を策定し労働局に届出していることです。

両立支援助成金の申請を検討している場合は、事前に一般事業主行動計画書を策定し届出するようにしましょう。
両立支援助成金 の参考サイト
一般事業主行動計画を策定すると仕事と家庭の両立を支援している企業として、従業員だけでなく世間からも認識され、企業イメージのアップになります。また、人材獲得のためのアピールポイントにもなります。
今後は対象となる企業も拡大していきますから注意しましょう。
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