有給休暇
2021.11.05
特別休暇の設定に迷ったら〜他社事例をご紹介
特別休暇制度とは
労使による話し合いを通じて、休暇の目的や取得形態を任意に設定できる法定外休暇を指します。病気休暇やボランティア休暇などのほか、従前から多くの企業で導入の見られる慶弔休暇や夏季休暇も、企業により任意に設定された特別休暇です。

2020年の特別休暇制度の事例を5つピックしてみました。
【SCSK株式会社】

・所在地→東京都
・業種→情報通信業
・従業員数→13,979名
〈バックアップ休暇とは〉
年次有給休暇を全て使い切った後、従業員本人や家族に病気や事故等の予期せぬ理由が生じた場合に5日間を有給で取得できる制度のことです。
年次有給休暇を毎月1日ずつ取得する等「計画的」に年度内に使い切ることを推奨しており、バックアップ休暇は万一の時に備えたセーフティネットとして位置づけています。
〈取得の条件〉
・請求期間は年次有給休暇を使い切るであろう1月~3月であること。
・年次有給休暇の残日数が0であること。
・年次有給休暇の事前申請の割合が50%以上であること。
また、年度内にバックアップ休暇を利用しなかった場合は、失効する年次有給休暇とあわせて50日を限度に積み立てることができ、私傷病、不妊治療、家族の介護や 看護等のために利用することができます。
〈その他の取組〉
・「スマート・ワーク・チャレンジ」を同時に進行しています。
この取組では、管理職を含む全従業員の実勤務時間を記録し、月間80時間超の残業は、社長承認を必須とし、さらに長時間労働削減で浮いた残業代を従業員に全額還元する等の施策を展開しています。
・夏季休暇等で年度内に5日以上(土日含め9連休)、プロジェクトの区切りに5日以内、従業員本人や家族の記念日等に3日以内等の連続休暇の取得を推奨しています。
・土曜日が祝日の場合の翌週月曜日、飛び石連休の間の平日を、毎年期初に労使協定を締結し、一斉有休日に設定している。一斉有休を社外の方にも理解いただくため、お客様宛てに「計画的有給休暇取得に関するお願い」という文書を社長名で送付し協力を求めました。
〈その他の特別休暇〉
・教育休暇
・ボランティア休暇
・公務休暇
・両立支援休暇
・マタニティ休暇
〈結果〉
・2019年の年次有給休暇の取得率は93%。
・バックアップ休暇も毎年度30~50名程度が利用。
・2019年度の年間休日数は126日。
【株式会社オガワエコノス】

・所在地→広島県
・業種→サービス業(廃棄物処理業)
・従業員数→250名
〈3つの病気休暇〉
➀ 長期療養休暇
[対象] 10日以上の入院・通院を要する私傷病を負った従業員
[日数] 各人の年次有給休暇付与日数を上限として年度内に最大20日
[単位] 1日
[給料] 有給
➁ 治療支援休暇
[対象] 傷病手当の受給が終了し、長期療養休暇、年次有給休暇を取得済みの従業員
[日数] 年度内に最大20日
[単位] 半日
[給料] 有給
③ おすそ分け休暇
[対象] 治療支援休暇を使い切り、長期療養休暇・治療支援休暇と同一の治療、検査、通院を必要とする従業員
[日数] 会社全体で前年度に失効した年次有給休暇日数を限度に必要日数
[給料] 有給
この規定は、実際にがんに罹患した従業員の意見を取り入れて策定し、全従業員が利用しやすい制度となるよう内容の改訂取り組んでいるそうです。
〈その他の取組〉
・治療と職業生活の両立が必要な従業員に対しては、本人の意向と能力や治療上の安全に十分配慮したうえで、会社が本人・家族、主治医・病院と連携し、復職や治療に際して両立支援プランを策定するなど支援を行っています。
・家族のライフイベントや子どもの学校行事などに関しても、休暇の取得が必要だと思われる従業員には人事総務部や上司から積極的に声がけをして休暇取得を勧め、従業員同士が「お互い様」と思える風土の醸成に努めています。
〈その他の休暇制度〉
・公務活動休暇
・社会貢献休暇
・災害・犯罪被害支援休暇
〈結果〉
・2019年度の年次有給休暇の取得率は73%。
・3年間で15名の従業員が長期療養休暇を取得、内1名は治療支援休暇とおすそ分け休暇も取得。
・2019年度の年間休日数は110日。
【株式会社アシックス】

・所在地→兵庫県
・業種→製造業(各種スポーツ用品等の製造及び販売)
・従業員数→8,904名
〈ボランティア休暇とボランティア休職〉
➀ ボランティア休暇
[日数] 年間3日
[給料] 有給
➁ ボランティア休職
[日数] 最大2年4カ月
[給料] 無給
〈その他の取組〉
「スポーツ休暇」に取組んでいます。
これは、年次有給休暇の中から2日間を、スポーツへの参加のために取得するというものです。
例えば、従業員自身のスポーツへの参加のほかに、スポーツ観戦や、子どもの運動会、地域のスポーツイベント支援等で利用されています。
〈その他の休暇制度〉
・ならし保育休暇
・配偶者出産休暇
・積立有給休暇制度
・裁判員休暇制度
〈結果〉
・スペシャルオリンピックスのイベントには、毎回20~30名がボランティアとして参加。
・2020年度の年間休日数は124日。
【株式会社アトラエ】

・所在地→東京都
・業種→サービス業(求人メディア運営)
・従業員数→63名
〈サバティカル3とは〉
意欲ある人が無駄なストレスなく、イキイキと働けるようにとの考えから設定されたもので、用途は特に決まっておらず、従業員の考え、都合で自由に設定できる休暇制度です。
[日数] 連続して20日間(分割不可)
[給料] 有給
通常の休暇ではできないような長期旅行や海外留学、資格取得、家族との時間等に利用されており、休暇を取得した社員は月に2回の全社ミーティングでどのようなことをしたかを自発的に報告してくれるそうです。
〈副次的効果〉
・属人化を防止…複数の人で業務を行うことによって、業務の停滞を防止できる。
・生産性の向上…属人化を防止することによって、1人だけで作業していては気が付かないような業務の無駄やムラが排除できる。
・離職防止…従業員の育児のために休暇を取りたいや、短期留学したい等の様々な要望に配慮した制度を設けることでエンゲージメントが向上する。
〈その他の休暇制度〉
・特別サポート休暇
〈結果〉
・これまで「サバティカル3」を5名取得。
・2020年度の年間休日数は125日。
【三菱ガス化学株式会社】

・所在地→東京都
・業種→製造業(化学製品の製造・販売)
・従業員数→2,391名
〈ドナー休暇とは〉
[対象] 骨髄ドナーへの登録、検査、入院する従業員
[日数] 最大年間3日
[給料] 有給
〈その他の取組〉
・事業所ごとに実態に即した年次有給休暇取得促進の取組を進めています。
例えば、飛び石連休の間の取得や、夏季休暇としての計画的な取得、従業員本人や家族の記念日にメモリアル・デーとして年次有給休暇を取得すること等を推奨しています。
・労使で協力して、ワーク・ライフ・バランス推進に取り組んでおり、年次有給休暇の取得や時間外労働の状況をもとに、適正な人員配置の検討や職場単位での業務量の調整などの工夫を行っています。
〈その他の休暇制度〉
・ボランティア休暇
・積立年休制度
・裁判員休暇制度
〈結果〉
・2019年度の年次有給休暇の取得率は85%。
・2019年度の年間休日数は122日。
いかがでしたでしょうか。
これらを参考に、休暇制度の導入を検討してみてください。
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