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歯科・医科クリニック向け:スタッフ給与を上げるチャンス!【ベースアップ評価料】を解説

「ベースアップ評価料」はスタッフ賃上げを国が支援する制度です
ベースアップ評価料は医療機関の賃上げの取り組みを国が支援することにより、医療スタッフの賃上げを実現し各クリニックが更に質の高い医療サービスを持続的に提供できるように、国が2024年度の診療報酬改定で新設したものです。
このベースアップ評価料は、クリニックがスタッフの賃金改善(特に月給などの基本給の底上げ=ベースアップ)を行うことを診療報酬で支援する仕組みです。申請・届出を行うことで、毎月の診療報酬に加算され、それを原資としてスタッフの給与を引き上げることができます。人材の定着や確保に直結するため、医科・歯科クリニックにとっては非常に重要な制度といえます。
出来たばかりの新しい制度ですが、申請様式の改定・簡素化が進んでおり、比較的取り組みやすい制度になっております。
ベースアップ評価料とは?:制度の趣旨と仕組み
ベースアップ評価料は、医療機関の賃上げの取り組みを国が支援することを目的としています。
1. 趣旨:なぜ評価料が新設されたのか?
- 医療従事者の処遇改善: 医療従事者の賃金を継続的に引き上げ、その社会的評価を高めることで、やりがいを持って働き続けられる環境を作ります。
- 人材の確保と定着: 賃金水準を上げることで、離職を防ぎ、新たな人材を呼び込む力を強化します。
- 質の高い医療提供: 安定した人員配置により、患者さんへの質の高い医療サービスの提供を継続・発展させることを目指します。
2. 仕組み:どこから賃上げ原資が出るのか?
ベースアップ評価料は、クリニックが提供する医療サービスに対する診療報酬に上乗せされる形で支払われます。
- 評価料の算定: ベースアップ評価料を届け出たクリニックは、患者さん一人当たりの診療行為に対して、評価料として定められた点数を加算して請求できます。
- 賃上げへの充当: クリニックは、この加算で得た収益を全額、スタッフの給与改善(特にベースアップ)に充てることが義務付けられています。
この制度の肝は、賃上げの原資を自院の経営努力だけに頼るのではなく、社会全体(国)が支援する点にあります。
クリニックにとってのメリット:給与アップ以上の効果
ベースアップ評価料を申請し、スタッフの賃上げを実施することは、単に給与が増えるというだけでなく、以下の観点でクリニック経営に多方面で大きなメリットをもたらします。
1. スタッフのモチベーション向上と定着率アップ
- 士気向上: 収入が増えることで、仕事への満足度やクリニックへの帰属意識が高まり、モチベーションが向上します。
- 離職防止: 「給与が低い」という理由での退職を防ぎ、大切なスタッフの定着率が向上します。
2. 優秀な人材の採用力強化
- 求人の魅力向上: 競合する医療機関や他産業と比較して、高い給与水準を提示できるようになり、求人市場での競争力が高まります。
- ブランドイメージ向上: 「スタッフを大切にするクリニック」として、社会的な評価やブランドイメージが向上します。
3. 経営の安定化と質の高い医療提供
- 安定した人員配置: 人手不足が解消され、予約の取りこぼしや診療の質の低下を防ぎ、安定した経営基盤を築けます。
- 患者満足度の向上: 余裕を持った人員配置は、患者さんへの丁寧な対応につながり、患者満足度の向上に貢献します。
| メリットのカテゴリー | 具体的な効果 |
| 人材 | 定着率アップ、採用力向上、スタッフのモチベーション向上 |
| 財務・経営 | 診療報酬の増加、安定したサービス提供による売上安定化 |
| 対外イメージ | スタッフを大切にするクリニックとしてのブランド力向上 |
申請・届出への大まかな手順と下準備
1. まずすべき下準備
ベースアップ評価料を算定するためには、地方厚生局への届出が必要です。手続きは複雑に感じるかもしれませんが、流れと必要な準備を理解すればスムーズに進められます。
- 賃上げ計画の策定:スタッフの賃上げ計画を具体的に作成します。
- スタッフへの周知・同意: 賃上げ計画の内容(給与改定のルール、評価料の趣旨など)をスタッフ全員に周知し、同意を得ます。
- 賃金実績の確認: 届け出を行う月の前月までのスタッフの給与支払い実績を正確に把握しておく必要があります。
2. 申請(届出)の大まかな手順
- 地方厚生局のHPから届出様式を入手
- 賃上げ計画と賃金改善実績などを記載:様式に従って、ベースアップに充てる金額や具体的な給与改善の内訳などを記入します。
- 地方厚生局へ提出:原則としてメールで地方厚生局に提出します。
- 受理・算定開始:提出後、厚生局での確認を経て受理されると、その翌月(または指定された月)からベースアップ評価料の算定(診療報酬の請求)を開始できます。
3. 重要な注意点:継続的な実施と報告
- 賃金改善の確実な実施: 評価料で得た収益は、必ず賃金改善に充てなければなりません。
- 定期的な報告義務: 算定を開始した後も、毎年、実際に計画通りに賃金改善を実施したかどうかの実績報告が義務付けられています。賃金改善が行われていない場合、評価料の返還や算定中止となる可能性があります。
FAQ:よくあるご質問
Q1. パート・アルバイトスタッフも賃上げの対象にしなければいけませんか?
A1. 原則として、常勤・非常勤に関わらず、クリニック内の全ての医療従事者(医師・歯科医師を除く)が対象となります。
Q2. 届出はいつまでに行えばよいですか?
A2. 届け出は随時受け付けていますが、原則として算定したい月の前月までに提出する必要があります。間に合わなかった場合でも、翌月以降に届け出を行い、受理されれば算定を開始できます。
Q3. 賃金改善の計画は、具体的にどれくらい上げればいいのでしょうか?
A3. 評価料の算定点数はクリニックの規模や収益によって異なります。重要なのは、算定で得た収益を全額、賃金改善に充てるというルールです。具体的な金額は、厚生局が公開している計算式やシミュレーションツール、または専門家の助言を得て決定することをおすすめします。
Q4. 賃金改善を実施したかどうかの実績は、どのようにチェックされるのですか?
A4. 毎年、地方厚生局に対して賃金改善の実施状況に関する報告書を提出することが義務付けられています。報告書では、賃上げ前の給与総額と、評価料算定後の給与総額を比較するなどして、計画が達成されているかが確認されます。
更新日 この記事は、2025年10月15日時点の最新情報に基づいて執筆されています。
出典(信頼できる情報源を明記)
- 厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定の概要(全体版)」
- 各地方厚生局「ベースアップ評価料の届出に関するQ&A」
- 法令・統計資料等
まとめと次のステップ
ベースアップ評価料は、スタッフの処遇改善を国が後押しする、医科・歯科クリニックにとって非常にメリットの大きい制度です。賃上げによる人材確保・定着は、安定したクリニック経営の最重要課題といえます。 この制度を活用される際は、まずは自院のスタッフ数や診療実績から評価料による加算額を試算し、具体的な賃上げ計画を立てることから始めましょう。
スポット社労士くんではベースアップ評価料の申請書類作成の支援をしておりますので、「ベースアップ評価料の申請をしたいが、自分で行うのは分からないことも多く時間もないので、できる人に任せたい」とお悩みの医科・歯科クリニック様は是非ご連絡下さい。






