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給与計算と手取りの仕組みとは?控除項目と手順・注意点も解説

従業員の給与

給与計算は、中小企業の経営者様にとって毎月のルーティン業務ですが、その複雑さから多くの時間と労力がかかる場合があります。

正確な手取り額を算出し、従業員の信頼を得るためには、ミスなく効率的に業務を進めることが欠かせません。

「毎月の給与計算、正確さと効率の両立は本当に難しい…」

「法改正への対応やミスがないか、常に不安がつきまといます。」

そうしたお悩みを抱える経営者様のために、今回はコストを抑えつつ、安心して給与計算業務をするための具体的な方法を3つご紹介します。

本記事では、厚生労働省からの法改正情報を定期的に確認したり給与計算ソフトを導入して自動化すること、そして専門家である社会保険労務士に委託する方法を紹介しています。

また、給与の「手取り」がどのように算出されるのかという基本構成も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

給与計算における手取りの基本構成

従業員が受け取る「手取り」は、給与(額面)から各種控除を差し引いた金額です。

給与明細の理解や労務管理の正確性を高めるには、手取り額の構成を把握することが欠かせません。一般的には、額面給与の75〜85%が手取りとなるケースが多く、正確な計算が求められます。

総支給額から控除額を差し引いた金額

「額面」とは、基本給に手当や賞与を加えた総支給額を意味します。

これに対し、「手取り」は税金や保険料などの法定・任意控除を差し引いた実際の受取額です。

給与計算では、まず総支給額を確定し、控除項目ごとの金額を算出して最終的な手取りを導き出す手順を踏みます。

社会保険料の内訳(健康保険・厚生年金など)

社会保険料には健康保険、厚生年金、雇用保険、さらに40歳以上64歳以下は介護保険料が含まれます。

健康保険・厚生年金・介護保険は、会社と従業員が保険料を折半し、標準報酬月額や賞与額をもとに算出されます。

雇用保険料は総支給額に基づいて算出され、事業主と労働者の双方で負担します。2025年度の雇用保険料率(一般の事業)は合計14.5/1,000で、労働者負担5.5/1,000、事業主負担9.0/1,000となっています。

参考:令和7(2025)年度_雇用保険料率のご案内|厚生労働省

税金の内訳(所得税・住民税)

給与から差し引かれる税金には、所得税と住民税があります。

所得税は毎月「源泉徴収」され、年末調整で過不足が精算されるのはご存知でしょうか。住民税は前年の所得をもとに決まり、6月から1年間かけて支払います。

新卒社員の場合は、2年目の6月から住民税が控除されるのが一般的です。

法定控除と労使協定による控除の違い

控除には法定控除と労使協定による控除の2種類があります。

法定控除は所得税・住民税・社会保険料など法律で義務付けられたもので、必ず差し引かれます。

一方、財形貯蓄や組合費などの任意控除は、労使間の同意がある場合に限って差し引けます。これらは「全額払い」原則の例外として認められています。

手取り額を算出する給与計算の具体的な流れ

給与計算は「総支給額の確定→控除額の算出→手取り額の計算」という順序で進みます。

この計算フローを正しく理解すれば、税務・労務リスクを回避し、従業員との信頼関係を築けるでしょう。

総支給額(基本給+各種手当)を確定する

給与計算は、従業員に支払う報酬の合計である総支給額(額面)を明確にすることから始まります。

総支給額には基本給に加え、時間外手当や役職手当、住宅手当、通勤手当、賞与などが含まれます。たとえば、役職手当は課税対象ですが、通勤手当は月15万円まで非課税です。

正確な金額を算出するには、勤務時間・残業時間・手当の種類と金額を把握するのが前提です。

社会保険料の標準報酬月額から保険料を計算する

社会保険料は、健康保険、厚生年金、雇用保険、加えて40歳以上64歳以下の介護保険料で構成されます

健康保険・厚生年金・介護保険の負担は会社と従業員が折半します。計算には、基本給や手当を含めた標準報酬月額や標準賞与額を用い、保険料率を掛ける方式が採用されます。

雇用保険料は業種によって料率が異なり、総支給額に基づいて算出されます。

課税支給額から源泉所得税を算出する

源泉所得税は、国税として給与から毎月控除されます。

計算は、総支給額から社会保険料などを引いた課税支給額から、基礎控除・扶養控除などの所得控除を差し引き、該当する税率を掛けて計算します

扶養家族の数や控除の有無により税額は変動し、最終的には年末調整で精算します。

年末調整では1年間の実際の所得に応じて過不足が清算されます。

住民税の特別徴収税額を控除する

住民税は、従業員の居住地である都道府県・市区町村に納める地方税です。

前年1年間の所得に基づいて決まり、通常は会社が給与から毎月天引きし自治体に納付する「特別徴収」で対応します。徴収期間は6月から翌年5月までの12ヶ月間です。

なお、新卒社員は前年度の所得がないため、住民税の天引きは2年目の6月から始まります。

税額や計算方法は、居住自治体ごとに差が生じる場合があるでしょう。

給与計算で手取りを間違う主な原因と注意点

給与計算のミスは、会社の信用を損ねるだけでなく、従業員からの信頼低下や税務・労務上のリスクにつながります。

手取り額を正しく算出するには、総支給額から社会保険料・税金などの控除を正確に差し引く必要があります。しかし、この計算過程には見落としやすい要素が多く含まれています。

労働基準法違反や追徴課税のリスクを避けるためにも、正確な理解と定期的な見直しが欠かせません。ここでは、手取り額の誤算につながる主な原因と対策を解説します。

社会保険料率や税率の改定を見落とす

社会保険料や税金の料率は毎年見直され、これを反映しないまま給与計算を続けると、手取り額に誤差が生じます。

健康保険料率は都道府県ごとに異なり、介護保険料率は全国一律で4月に更新されます。雇用保険も業種によって料率が異なり、改定のたびに更新が必要です。

改定情報を把握せずに計算すると、徴収額の過不足が発生し、従業員への修正対応や税務調査の対象となる恐れがあります。そのため、最新の料率を随時確認し、給与計算システムに自動反映させる環境を整えましょう。

残業代などの割増賃金の計算を誤る

割増賃金の計算ミスも手取り額の誤りにつながります。

労働基準法では、時間外・深夜・休日労働に対し、それぞれ定められた割増率が必要です。特に、2023年4月から中小企業でも60時間超の残業に対して50%以上の割増率が適用されるなど、法改正の内容も反映が必須です。

基準となる時給計算を間違えたり、割増率の設定が不十分だったりすると、賃金未払いとなり、法令違反により懲役や罰金の対象になります。

計算負担やヒューマンエラーを避けるには、勤怠管理システムや給与計算ソフトの導入が有効です。

扶養親族の数の変更を反映しない

扶養親族の数が変更されたにもかかわらず、それを給与計算に反映しないと、源泉所得税額が誤る原因となります。

所得税は課税所得から所得控除(基礎控除・扶養控除など)を差し引いた金額に税率を掛けて計算されます。結婚・出産・子の独立などによって扶養人数が変わる場合は、その都度最新情報を反映させるのが必要です。

反映漏れがあると、源泉徴収額に過不足が発生し、年末調整時に大きな還付や追加徴収が発生する恐れがあります。従業員には扶養控除等申告書の提出を促し、常に最新データで計算する体制を整えておきましょう。

面倒な給与計算を効率化する具体的な方法

給与支払いは企業の信頼に直結するため、正確性と迅速さの両立が求められます。

特に中小企業では、経営者自らが法改正に対応しながら手作業で計算をするケースが多く、業務負担が重くなりがちです。社会保険料や税金の控除計算は複雑で、ミスがあれば従業員との信頼関係の悪化や、法令違反による罰則、税務調査の対象になるリスクもあります。

正確な計算を維持しつつ業務を効率化するための対策を実践するのが、健全な経営を継続するうえで欠かせません。

厚生労働省からの法改正情報を定期的に確認する

給与計算の精度を保つには、厚生労働省の最新情報を定期的に確認し、保険料率や法定割増率の変更を見逃さず反映させる体制が必要です。

健康保険料は都道府県ごとに異なり、毎年4月に見直されます。全国一律の介護保険料や、業種別に定められた雇用保険料も同様です。

さらに、2023年4月からは中小企業でも月60時間超の時間外労働に対し50%以上の割増率が義務化されました。更新情報を反映せずに給与計算をすると、従業員の手取りに誤差が生じ、トラブルや法的リスクを招きます。

正確性を確保するには、制度変更を見逃さず、社内ルールや計算方式に適切に反映すると良いでしょう。

参考:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省

給与計算ソフトを導入して自動化する

給与業務の効率化と正確性向上には、最新のクラウド型給与計算ソフトの導入が効果的です。

勤怠データと連携し、賃金計算から明細発行までを自動で行える機能により、作業時間を大幅に削減できます。さらに、法改正に伴う保険料率や税率も自動更新されるため、手動での入力ミスを防ぎやすくなります。

給与明細や源泉徴収票をWeb配信できるため、従業員はスマートフォンなどからいつでも確認可能です。年末調整の電子対応にも役立ち、業務全体のペーパーレス化と省力化が進みます。

コストを抑えつつも、精度の高い給与処理が実現できるでしょう。

専門家である社会保険労務士に委託する

給与業務を外部に委託する選択肢として、社会保険労務士(社労士)の活用は有効です。

社労士は給与計算に加え、社会保険や労務管理に精通しており、法改正や手続きの対応も任せられます。

万が一のミスや漏れが発生した場合、企業は労働関連法や個人情報保護法の違反と見なされ、罰金・追徴課税・信用失墜といったリスクを抱えることになります。

社労士に委託すれば、これらのリスクを回避できるうえ、経営者は本業に専念できる時間と余力を確保できるでしょう。

結果的に、コスト削減と労務効率の向上を両立する手段としてもおすすめです。

まとめ|給与計算で手取りを正確に算出して効率的な労務管理を実現しよう

本記事では、給与計算で手取りを正確に算出するための具体的な方法や、その重要性について解説してきました。

給与計算は、社会保険料や税金などの複雑な控除が絡むため、常に最新の法改正に対応し、ミスなく処理することが求められます。

  • 厚生労働省からの法改正情報を定期的に確認する
  • 給与計算ソフトを導入して自動化する
  • 専門家である社会保険労務士に委託する

これらの対策を講じれば、中小企業の経営者様は複雑な給与計算業務から解放され、安心して事業に集中できるようになるでしょう。正確な給与計算は従業員の信頼を獲得し、健全な企業運営に繋がります。

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